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またその日から、朝生田は学校に来るようになった。少しずつ朝生田の傷も癒えてきて、体育祭前日には一番治りが遅かった部分に貼られたガーゼも外された。体育祭を楽しみにしているのは本当のようで、練習は真面目に取り組む姿が見られて。俺よりも真面目にしてたんじゃねぇのかなぁとか思ってしまうくらいには。意外って言うか何て言うか。
そんで迎えた当日。今年も配られたブロックTシャツを着て参加。半袖はやっぱり寒くて去年同様下に下にシャツ。
「狂ちゃんおはよ~」
「…あ、うん。おはよ」
「るいるいもー」
「はいはい」
まだ整列しろって言われてないから生徒席で琉生と話してのんびりとしていると、朝生田に声をかけられた。愁はまだ来てない。あれだ、安定の遅刻だと思われる。それかギリギリに来る。
Tシャツを着ている朝生田に違和感。何かが違う、そう思って過去と今の朝生田を思いだし、比較してみて、気づく。朝生田普段は長袖だったな、と。違和感は半袖姿を初めて見るから生まれるものだったんだろう。
「…え、これ」
長袖から半袖に変わるだけで結構印象は変わるもので、珍しいものだからついまじまじと見てしまってると、右腕に目が行った。
前腕に、うっすらとだが数ヶ所斑点が出来ていて、それは生まれつきとか、そんなのじゃないようにも見える。俺の横腹に残ってる縫った後…とも違うけれど、そう言う、外的なものが要因のようなものだ。
そんで、こんな風に残るのは、俺みたいに手術をした場合、深い怪我をおった場場合位だと思う。軽い怪我なら傷痕残らず癒えるし。
こんな綺麗に、同じ形が何個も出来る怪我。この点々1つの大きさは、俺にも見覚えがある。
ーまさか、まさかーー…。ー
「…あー、はは…目立たねぇと思ったんだけどな…。急に半袖にしちまったら視線行くかぁ…暑ィのになァ…」
俺の視線に気づいたのか、朝生田が荷物からパーカーを取り出して羽織ってしまい、肌が隠される。避けられた、ってことはやっぱり、これは。
「朝生田、これ、やけー…ん、ぐ…っ?」
「火傷じゃないのか」と、その言葉を出そうとしたや否や、朝生田に唇を手で塞がれた。
「…悪ィ狂ちゃん。それ以上、言わないでくれ」
ぼそりと、琉生には聞こえないように言われたそれは、朝生田の切なる願いが込められていた。
つまり、肯定。朝生田は過去に腕に火傷、…もっと言えば、所謂『根性焼き』。それをされたことがあるんだ。
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