アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
椿に抱き締めてもらって、不安が徐々に無くなっていくと同時に寒くなくなっていく気がした。
俺の背を撫でてくれる手は相変わらず兄貴に似ていて、けどこう言う時何を言わずに抱き締めてくれるのは愁とも似ている優しさだと思った。
「…っ、おい…、」
「ん…」
椿の胸に顔を埋める。
椿の服から香るバニラみたいな甘い匂いがどこか心地良くて、擦り寄った。
凄く、安心できる温もりと匂いだった。
「っくく、馬鹿、くすぐってぇよ」
「…ん、ぅ…」
ポンポンと笑いながら椿が俺の頭を撫でる。
椿の体温が俺の中に染み込んでいくようで気持ち良く、もっとその温もりが欲しくて椿の背に回す腕に入る力を強くした。
「ほら、もう大丈夫か」
「っ、ん…」
椿が俺の頬を撫でて微笑んだ。
"屑"の癖に、優しい顔。
嫌いで仕方がない筈のそいつの、優しい表情に心が満たされていく。
人の体温を温かいと思ったのは、これで3人目だ。
愁と、兄貴と、お前。
お前と2人じゃあ全然違うのに。
俺はお前が嫌いだ。なのに何でこんなにも、嫌いな人間相手に抱く筈のない安心感があるんだろう。
自分で、自分が理解できない。
けれど今の俺にはそんなことに頭を使えるほど余裕が無かった。
「も、と…つばき…っ」
寒さは和らいできたが、でもまだ足りない。
芯の方がまだ冷たい。もっと、もっと奥深くに欲しい。
「なあ…っ、つば、き…」
「…っ嗚呼…糞…。終わった後で怒んなよ…?」
「っ、んぅ?!…ぁふ…ッ、…ぁっ」
自分ではどうしようも出来ないその”飢え”から救われたく、椿の服を引っ張って要求する。
…と、椿は舌打ちをしてガシガシと自分の髪を掻き、椿が俺に顔を近づけてきて…、その直後に唇に柔らかい感触。
途端に、口からの呼吸が困難になり吃驚して椿から離れようとするが、俺をガッチリとホールドする腕が許さない。
呼吸をする暇なんて与えてくれない位に激しい、噛み付かれるようなキス。
次第に頭がふわふわしてきて、気持ちよくてじわじわと体が熱くなる。
嗚呼、これだ。中心から氷を溶かしてくれるような、そんな熱。
もっと熱いのが欲しくて自分から唇を開き舌を絡めた。
冷静になった自分はきっとこの行為に後悔するのだろう。
愁以外に、ましてや嫌いな奴にそういう行為を求めたことを。
それでも俺は、この熱に縋っていたかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 1113