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某日のこと。
「昴流ってさ、勉強しなくて大丈夫なの?」
「…んぁ?」
涼の家に泊まっていたその日。
テレビを見ながらもきゅもきゅと朝食にパンを食べている時、そんな事を聞かれた。
「そろそろ定期テストだけどお前俺が見てる限りじゃ教科書たまに出す位だからさ。いつ勉強してんのかなぁって思って」
嗚呼そうか。何かそれで騒いでた奴いたな。
「テストと文化祭の間をもう少し開けてくれ!!」って。
…いつ勉強すんのか、なぁ…。それってテスト勉、ってことだよな?
「別にしねぇけど」
「…してないであの点数?」
「…教科書読んでんだろ?」
そんなこと聞かれるとは思って無くて逆に聞き返した。
今の単元ならどの教科も教科書を1回読めば理解出来る。テストの結果もそれなりなのを取れる。
…普通じゃあないのか?そこまで勉強して覚えるようなことは授業でしてないだろ。
つか愁はほぼ毎日寝てて、教科書読まずで俺と同じ位の点数取れんだからそれの方が凄いと思う。
俺だったら絶対取れない。
「嗚呼…そうかお前中学の頃首席で何だかんだ言って頭良い方何だっけか」
「……、あの頃はちゃんと勉強してたから」
父に褒められたくて、認められたくて自分から毎日塾を入れるように頼んでひたすらに机に向かって問題を解いていた。まあ、それも無意味だったけどな。
あの頃みたいに四六時中勉強ばっかしてたら俺が通ってる学校のテストなんて余裕で満点取れるんだろうけど、もう俺が必死こいて勉強する理由なんてない。
まぁそれに、そこそこ取れてるししなくても良いだろう。
赤点だったら少しは頑張ってたかもしれない。兄貴と約束したから卒業はしたいし。
「…けど教師って立場としてはお前の本気を見てみたい気がするな」
「…しねぇぞ俺は」
「えー、ご褒美一杯あげるよ?」
「俺は小学生か」
小学生の頃、そう言われたら頑張っていただろうが生憎俺はもう高校生だ。そんなので釣れる年ではない。
「…もしかしてー、昴流さんえっちなご褒美が欲しいの?」
「何でそうなった」
「あらー」と手を口元にわざとらしく当てる。
"ご褒美"のニュアンスの違いじゃねぇよ。そう言うことは一言も俺言ってねぇよ。
「冗談冗談」
…笑って言ってるが俺には冗談には聞こえなかったぞ。
「見てみたいのは本当。…してくれないの?」
少し残念そうな顔をするのは止めろ。こっちが悪いことしてるみたいだろ。
「ねぇ、昴流…」
「ぅ、ぁ…ッ?!、やりゃあ良いんだろ、やりゃあ…!?」
耳元で色気のある声で囁かれゾワゾワっと悪寒が走った。
嗚呼、知ってる。これ絶対自分の意見を曲げないときの涼だ。
それが分かると折れてしまう自分はやっぱりこいつに弱いんだなって思った。
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