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久世に呼び出された1件から1週間。
その1週間の内で最近変わったことが2つある。
1つはあれだけ涼に引っ付いてた久世が全く引っ付かなくなったこと。
愁が何か言ったんだろうと理由は何となく想像ができ、その証拠に久世は愁を見ると逃げるようにどこかへ行ってしまう。
…俺の方も見ていたのは触れないでおく。だって俺何もしてねぇもん。イラっとして少し手出した位でそこまでのことはしてない。
「あははは!!やっべぇちょっと言っただけであれかよ。怖がり過ぎでしょ」
それに対して愁はご満悦の様で大爆笑。
ちょっとって。ちょっとならあんな怯えないだろう。お前のちょっとは兄貴と同じでそんな優しいものじゃないと気付いてくれ。
「でもさ、ルウちゃん俺偉くない?不登校にさせるまでは追い込まなかったんだよ?」
「…褒める所なのか?それ」
「うん褒めて。本当はもっと追い込む気でいたんだよ。文化祭の件もあるしさ」
「ぶんか…?あー写真撮られた奴?」
「んーあーー…それはデータ消させた…っつーかスマホに入ってたSD割って水没させたんだけどぉ…。俺が言ったのはそこじゃなくて…あー…」
相当なことをこの段階でしている気がするが、言いたかったのはそれではないらしい。だったらどう言う意味だと聞けば言葉を濁されてしまった。俺の為に言わない方が良いと判断したのか、説明し辛いから詳しくは言わなかったのか。特に気にすることでもないのでそれ以上触れはしなかった。
そしてもう1つの変わったことはーー…。
「頼む…!!入部を…!!」
忘れられていたかもしれないが、部活勧誘を下校中もされるようになったことだ。
勿論、吉柳に部活が無い日に限り、俺と帰り道が同じ所まで。俺の家まで付いて来られたら流石に引く。
こうなった原因は恐らく、鬱陶しくて1回体験入部をしたら諦めてくれるだろうと思い「1回だけだ」と時間があった時に乗ったせいだろう。結果、真逆のことが起きた訳だが。
ここまで来れば逆に褒めたくなる。スポーツマン精神は大切だ。諦めない鋼の精神を持ってることはスポーツをする上では必須であることだろう。
けれど、これは良い加減諦めてくれても良いんじゃないのか。何度誘われようと俺は入らないし、そもそも部活に興味すらない。
「俺は忙しいんだよ」
「暇な時だけで良いから…!!な?!」
だからその暇な日が俺にはないんだってば。2人分の家事とバイト両立しねぇといけない学生舐めんな。
体験入部をした日は本当に偶々バイトが無くて家事もそこまで溜まってなかったんだ。この偶々が重なることなんて滅多にないんだからな。
「お前が入ったら全国1位も夢じゃないって。運動神経良いんだからさ。ほら良い目標できた」
「否、大袈裟だし1番になりたいとか思ったことねぇし」
俺が如何に身体能力に恵まれているかを熱弁し出した吉柳に溜息。こうなったこいつが止められないのは経験済み。
2時間前。シフトが入っているからと授業がまだあるにも関わらず学校を抜け出しバイト先に向かった愁を今日ばかりは恨んだ。
愁、頼むから戻ってきてくれ。俺1人では吉柳のアタックに対応しきれない。
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