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目を覚まして1週間が経った。
病院側が言うには臓器に傷はないもののそれなりに深いとこまで刺されてたらしくてまだ入院中だ。
刺されたとこに響くから歩き回ることも出来ないし、かなり暇だ。
……いや、外に出ることはできるんだが、そうなると車椅子を使わないといけないから面倒でずっと病室で暇な時間を過ごしているのが本音だ。
「やっほールウちゃん」
いつものようにコンビニ袋片手に見舞いに来る愁。
今日は珍しく吉柳と涼と一緒に来たようだ。
……たまたま来る途中で会っただけだとは思うが。
「ルウちゃんどう?傷の痛みとか」
「痛み止飲まなくても痛くはなくなってきたけど歩いたりしたらやっぱまだ痛い」
「ま、そんなすぐに治るもんじゃないし当たり前か。はい」
「…ん」
レジ袋の中から出された飲み物を受け取ると、手が空いた愁はまたしてもレジ袋の中から幾つか菓子をだして机の上に広げた。
…こいつが見舞いに来て菓子を持ってこなかった日がないのは気のせいであってほしい。
「ルイちゃんも好きなだけ食べて良いからねぇ。あ、糞椿は食べたら殺す」
「あ、ありがとう…?」
「言われなくても食べねぇよ」
愁と涼の関係は相変わらずだが、俺が入院している間に吉柳には随分心を開いているようで。愁が年の近いやつとこうやって話してんのは俺以来じゃないだろうか。
…それは俺にも言えるか。
俺らに友人なるものが出来たなんて昔の俺らじゃ考えられない事だな。
「狼城ポッキー食べる?」
「…ん」
「はい」
吉柳が食べていたポッキーの袋から1本取り出して俺に差し出す。
それを自分の手で持ち直さずに口に入れると吉柳がアワアワしだした。
…どうしたんだ、一体
「いや、慣れてなくて」
「…あ?」
「…ぶはっ、純粋だねぇルイちゃん」
吉柳の言っている意味がわからない俺のとなりで理解したのか爆笑している愁。
聞くに、『あーん』という俗称でお馴染みのそれに吉柳が慣れていなかったらしい。
愁と普通にやってるからそれが普通なんだと思ってたがこの反応からして普通はしないのか?
親しくなる以前にまず、普通の友人の距離感ってのを知らないといけないなってその時思った。
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