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「なるほど…つまりその電話相手があいつの女かもしれないってことか」
「……ん」
翌日の屋上。俺は昨日のことで愁と相談していた。
「その女が誰かちゃんと聞いた?」
その質問に俺は小さく横に首を振る。
何度も聞こうと思ったけれど、メールにしろ口で聞くにしろ、直前でやっぱり人間関係一々聞かれんのは涼も嫌だよなと思ってやめてしまった。
「それなら聞いたらどう?モヤモヤしたままよりはマシでしょ」
「いや、でも…本当に…その…」
ー本当に涼の"タイセツナヒト"だったら。ー
あのときの会話を思い出してはそんなことを考えてしまう。
あのとき涼が会話相手に嫌な顔ひとつでも見せれば…久世のときみたいな顔をしてくれればモヤモヤしたものは無かったかもしれない。
…けどそうじゃなかった。嫌な顔をするどころか涼は楽しそうでー…。
「…それに、相手は"女"…だから」
女の人は当たり前だけど俺にないものを一杯持ってる。
だから、涼はゲイではないし男より女の方がやっぱり良いんじゃないかって思ってしまう。
「…不安なら尚更聞くべきじゃねぇの」
「…そう、だけど…」
嫌な答えが返ってくるかもしれないのに俺には聞く勇気なんてない。
「…お前さ、たまに男前なのにその倍くらい女々しい…つかビビりだよな」
「ぅ、え…?」
「賭けてやるよ。あいつに女はいねえって。どうせ大学時代の同級生とか前の学校の同僚とかそんなんだと思うぜ?」
…それにしてはかなり親しかった気もするけれど、愁が自信げに言うのだから…そうなのだろうか?昔から愁は自分に不利なことを賭けたりはしない奴だ。
その愁がそう言ってるんだと思うと少しだけ聞く勇気が出た気がする。
「…分かった、聞いてみる…」
「ん、頑張って」
「ありがと、しゅう」
今回もまた愁に背中を押して貰ったことへの感謝を伝えるように俺は力一杯に抱き締めた。
その数秒後に愁から痛いと言われるのは言うまでもない。
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