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24-1
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「…お前の地元って東京なんだ」
「嗚呼、まあ、暮らしは向こうの方がなげえな。中高は向こうだったし、大学は地元にいきてえのがあったからそっちにしたけど向こうに慣れちまったから卒業したらすぐ戻ったし」
「へー…」
クリスマスの数日後、東京へいくべく俺たちは高速道路を使って車で移動していた。そこで涼の地元が東京だということを知る。
意外だ、とかそういう驚きはなく、何というか納得。「ぽいな」って。
因みに言えば、俺たちがすんでるところは同じ関東だけど東京からちょっと離れてる。
「元々地元の市立に通うのだけは勘弁って思ってたんだよ。だから中学で受験してそんままエスカレーター。彗と同じ学校を選んだのは近くに叔父がすんでるのと、当時はそこが関東で一番良い学校だったからだな」
「なるほど…」
…まあ、地元が嫌ってのは良くある話だな。なるべく良いとこに行きたいって思うのも普通の事だ
ー涼と兄さんが同じ学校…かー
あまり意識したことはなかったが、同級生ってことはそうなのだ。
兄さんがかよってたところ、つまり俺が受験したところでもある。
一時期ではあるがそこにいたから俺はそこの雰囲気がどんなものか知っている。
そこの俺が知ってる学校の雰囲気に似合わない…といったら失礼かもしれないが、何というか、あそこで過ごしている涼を想像できない。
「…涼は昔はどんな感じだったんだ」
だから興味本意で聞いてみた。
すると涼は一瞬…、ほんの一瞬だけ表情を曇らせた。
「あー…それは…どう言えば良いんだろうなあ…、真面目でも無かったし、かといって不真面目だったわけでもねえし…」
あまり言いたくない、という風に言葉を濁す涼。
…聞いたら不味かっただろうか。
そう思って謝ろうとしたのとほぼ同時に、『ピロリン』と鳴った電子音がそれを遮った。
「あー、俺だ。代わりに出てくんね?多分真だから」
「あ、ああ……」
そう言われ、コンソールボックスに置かれた涼の携帯を取る。涼のいう通り、その着信は真さんからだった。
「はい」
『その声は昴流くんね!!!!』
「……ええ、はい」
あいかわらず真さんは元気そうで、携帯を耳からちょっと離してもその声は良く聞こえた。……五月蝿いって意味じゃない…決して。
『涼にいつ頃こっちに着くか聞いてくれない?』
「嗚呼、はい。……涼、何時に着きそうか、だって」
「今何時」
「3時ちょい」
「じゃあ5時前くらい」
「ん。…5時前くらいだそうです」
『あら、いつもより遅いのね。分かりやすすぎて笑うわ。……あ、昴流くんちょっとだけ涼に代わってくれない?』
「…あ、はい」
涼に携帯を差し出すと、あからさまに嫌な顔をして携帯を受け取って耳に当てた。
「…うるせえよ、悪いか。…ッチ、切んぞ、お前と喋ってたら事故りそうだ。……あーはいはい聞こえませーん」
真さんに何か言われたようで、声のトーンが不機嫌なときの物になる。
涼は一方的に電話を切ると「1回くたばれ」と舌打ち混じりに呟き、携帯を投げるようにボックスに置いた。
……すっっっ…げーマジトーンだったぞさっきの。真さん涼に何言ったの。何言ったら涼こんなに不機嫌になんの。
…涼を一言で怒らせる真さん。ある意味の天才なのかもしれない。
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