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「昴流、お客さん」
「あ、はい。すいません優さん、ちょっと開けます」
「どーぞごゆっくり」
その時間はすぐにやって来て、皿洗いをしていると優さんが『ゼロちゃん』さんが来たことを知らせてくれる。
今やってる洗い物を終わらせて、エプロンで軽く手を拭くと彼が座ってる奥のテーブルの方に向かった。
「お待たせしました」
「あー、大丈夫ですよ…で、話って?」
「そうですね、その前にお名前を教えてくれませんか?ゼロちゃんさんは言いにくいので。…あ、俺は狼城昴流です。紹介が遅れて申し訳ありません」
「嗚呼はいどうも。桂木零です」
「ありがとうございます。…では本題ですが率直に言わせてもらいます」
桂木さん、俺が言うことを貴方はふざけんなって怒るかもしれない。けど俺は偽りなく話そうと思う。偽って話してても絶対に頷いてくれる訳がないから。
1度深呼吸をした後、俺はその本題を口にした。
「俺に利用されてください」
「えっと…はい?」
数分間の沈黙の後、桂木さんが苦笑いで聞き返してくる。想定内の反応。
「言い方を変えれば、俺のエゴに付き合ってください」
「…話が見えないんですが、つまりは?」
「愁を助ける手伝いをしてください」
「…最初からそう言ってください…。混乱しましたよ」
ごめんなさい。けど最初に俺が貴方を利用するってことは言っとかないといけないと思ったんだ。
「…で、何をしたら?」
「…愁を守ってくれませんか」
俺が一緒に居られない時だけで良い。
最悪、気にかけてくれるだけでも良い。
「…"あれ"のこと言ってるんだと思いますけど、俺じゃなくても出来るんじゃないですか?貴方だって…」
「確かに、サイクルは分かってます。その日に愁の家を張っていれば守れるでしょうね」
でも、あそこまで激しくなったとなると月1で済むか分からない。毎日愁の家を見張るにしても俺だってバイトがあるからずっと愁を守れる訳じゃない。
「…言ったでしょう?俺のエゴに利用されてください、って。俺はもう愁を傷つけたくないんです」
「……アンタにとってあいつはどういう存在なのか聞いて良い?」
「言葉で言い表せれないくらい大切で、大好きな人です」
「はあ…恋人なんですか?」
「勘違いは良くされますけど、俺と愁の間にそんな感情はありませんよ、まあそれに近い物はあるかもしれませんが」
「ふーん…良いよ協力してやる」
「…良いんですか…?」
殴られる覚悟で頼んでたからここまですんなり了承してくれると思っていなくて、思わず聞き返してしまった。
「一応可愛い後輩だしな。利用されてあげる」
「…ありがとうございます」
その返事に、机に頭がつくくらいに頭を下げて礼を言った。
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