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なるべく視線から逃れるようにひたすら床を見つめていたが、顎を掴まれぐっと顔を上げさせられた。
途端、切れ長の鋭い瞳が俺を捉える。
明るい茶髪をワックスで遊ばせ、右側だけピンで留めた一見チャラそうな髪型。
睨みつけるような目の鋭さは不良そのものだが、整った二重目やすっきりした輪郭から、ジャ◯ーズにいそうなイケメンだ。
この人、Z組じゃなかったら生徒会役員レベルだぞ……!
というのも、本校舎の生徒会や風紀委員会なんかはほとんど顔で選ばれたような奴らの集まりだからだ。
まぁ恐らく仕事もちゃんと出来るんだろうけど。出来なきゃ困るけど。
そんなレベルの高いお顔を見て、なぜだか「勿体無い」と思ってしまった。
本校舎にいれば放って置かれない存在だったはずだ。
状況も忘れてそんなことを呑気に考えていたら、悪魔様が首を傾げた。
「こいつが、かぁ?」
「……?」
訝しげに眉をひそめる彼に困惑して、俺も首を傾げた。
紛れもなく俺はZ落ちしましたが。
不良とか問題児だけじゃなく成績が著しく悪い生徒とかも落とされるから、俺がZ落ちしても何も不思議なことはないと思うけど。
不審そうに見られてもなぁ……。
黙って見つめていると、彼は俺の目を探るように見つめて衝撃の言葉を落とした。
「聞いた話じゃ、1人の生徒を刃物で痛めつけて教室中血の海にしたそうじゃねぇか?」
「……え?」
疑問の声をあげたのは横にいるトラ。
心なしか周囲も静まって、いくつもの視線が俺に刺さる。
俺はただ目をパチクリして、
困ったように笑ってみせた。
否定を口にしない俺に、彼はいっそう不信感を露わに睨みをきかせる。
「……本当なワケ?どうもそんな危険な野郎に見えねーんだけど」
「すみませんが、それ誰から聞きました?」
「風紀の知り合いから」
「風紀……そうですか。じゃあ信憑性は高いですね」
「本当かどうかって聞いてんだけど」
イラついた様子で胸倉を掴まれ、息苦しさに眉を寄せる。
トラが狼狽えながらも心配そうに見つめているのが分かる。
やっぱいいヤツだな。馬鹿だけど。
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