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この状況はちょっとまずいかな。
いつの間にか注目されてるし、俺の返答次第によっちゃ集団リンチになりかねない空気だ。
たしかに新しくやって来た生徒が刃物で血の海だなんて物騒な人間だと、さすがにヤンチャが多いZ組の人達でもドン引きだろう。むしろ排除しにかかるかもしれない。
そんなことされたらいよいよ俺の居場所がなくなる。それだけは避けなければ。
割と追い詰められた状況に、目の前の悪魔様に対する恐怖心やら焦りやら困惑やらが一周回って妙に冷静になってきた。
俺の胸倉を掴む手を「まぁまぁ」と宥めるように叩いたらいっそう強く締め上げられた。早速殺されそうだ。
「あ、の、……ぐ、……うぅ」
「あぁ!?はっきり喋れや!」
「槙のアホ!そんなに締め上げたらツル喋れねーだろ!」
トラ、ナイス。
まさに喉詰まって言葉になりませんでした。
トラが俺を彼の手から引き剥がしてくれたおかげで、ようやく気道を確保できた。
庇ってくれたトラの後ろで咳き込み、なんとか息を整える。
じっとこちらを睨みつける悪魔様や周りの痛いくらいの視線を感じながら、どう説明しようかと頭をひねる。
しかし俺自身よく分かっていないので、あーでもないこーでもないと唸るしかできない。
一向に話し始めない俺に周りは苛ついてきたのか、ピリッとした空気を肌に感じる。
……あぁ、そういえば、あの時も。
一方的な敵意を向けられて、俺はどうすればいいかわからずにただ立ちすくんでいて……。
ずくり、と眼帯の下の左目が疼いた。
「……ハッ!!!」
突然目を見開いて大声を発した俺に、周りは驚いて不審な顔をしたが気にしてる場合じゃない。
ようやく、その答えを見つけたのだ。
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