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不躾ながらそんな認識をしてしまった彼は、悪魔様と同じでこのZ組の中でも一目置かれた存在なのだと感じた。
周りの彼らに対する様子を見れば分かる。
本校舎での生徒会メンバーに対する生徒達の崇拝ぶりとは全然違って、遠巻きに騒いだり神格化したりはしていない。
普通に同世代の生徒どうしの関係のまま、憧れや尊敬の眼差しを静かに向けているのだ。
……まぁ、それが普通なんだろうけど。
あっちの生徒達が異常なんだろうけど。
そんなことを考えながらぼけっと突っ立っていると、綺麗な彼が俺達の前まで来て立ち止まった。
どこか近寄りがたい雰囲気を纏った彼を前におどおどしてしまう俺だが、相変わらず空気を読まないお馬鹿トラが馴れ馴れしく「女王様の登場じゃーん!」と彼の肩を叩いた。
おいおいトラお前ほんとなんなの?上下関係って言葉知らないの?女王様とか言いながら態度が伴ってないよ不敬罪で即処刑だよお前。
「うるさいよ馴れ馴れしく触んないで。次また女王とか言ったら張り倒すよ」
「さすが辛辣〜まさに女おっっぶ!!!」
バチーーーンと良い音を響かせて頰を平手打ちされたトラが見事に吹っ飛んだ。それはもう見事に。
予想外に強烈な攻撃を繰り出した彼にポカンとする。
小柄な彼の動きとは到底思えない。間近で見てとても重い一発だったのが分かる。
しかし打たれ強いトラはよろよろしながらもすぐ復活して「痛いっても〜」とか言って笑ってる。不死身か。
「最悪。馬鹿に触っちゃったじゃん。汚い……」
「えっそれは傷付く」
「翠(みどり)、この馬鹿に負けず劣らずの馬鹿が現れたぞ」
「……その眼帯の?」
悪魔様の言葉に反応して女王様の目がこちらに向く。
なんとなく緊張して背筋をぴんと伸ばした。ついでに手を額につけて敬礼ポーズをとった。
ら、女王様は冷ややかに目を眇めた。
あっ、間違ったかも。
「あぁ、例の。流血沙汰起こしたっていう」
「その話だけどマジなわけ?こいつに聞いてもふざけた答えしか返ってこないんだけど」
「俺はぁ、ツルはそんなヤバイことしないと思う!」
「お前は黙ってろ」
「痛い!」
悪魔様に拳骨くらって元気に吠えるトラ。
女王様はそんなトラを興味なさげに一瞥してから俺を見た。
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