アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
24
-
色素の薄い瞳と茶色がかったサラサラの髪。
小さく整った顔に大きめの目は可愛らしい見た目だが、その表情は大人っぽく、落ち着き払った雰囲気が彼の格式高さを印象強くしている。
たしかに、女王様って渾名に納得してしまう。
「……あれ、ペンキでしょ」
「えっ?」
「は?」
突如言い放った彼の言葉に首を傾げる。
ペンキ?何がだ?
疑問を浮かべた顔をする俺に、女王様は鬱陶しそうに溜め息を吐いてポケットから一枚の写真を取り出した。
無言で見せられたそれには、あの時の現場が写っている。
一番に目に付くのは床に広がる赤い色。散在していた刃物類は集めてビニール袋に入れられており、所々で風紀委員が辺りを調べている様子が見て取れる。
まるで殺人事件後の現場検証だ。
改めて見るとひどいな。あんな所にいたのか俺は。
その異常な光景に思わず顔をしかめる。
女王様はこれ、とその赤い床を指差した。
「この血に見せかけてるの。教室中シンナーの臭いで充満してたんだってね。ペンキだと分からない訳ないよね」
「はぁー?なんだそりゃ」
「ほらやっぱり!もーなんで否定しなかったのさツル!」
悪魔様が呆れた声を出し、トラはにこにこしながら俺の背中を叩いた。
うん、確かにあの時、すごいシンナー臭いなって思った気がする。
「被害者の生徒は制服こそボロボロだったけど全くの無傷。事前に風紀委員の人間に手を回して、君をここに呼び出してからタイミング良く発見させたんだろうね。安直な罠だよ」
「おぉ……」
なるほど。すごい、見事な推理だ。
そしてその安直な罠にハマった俺って。
そして風紀委員会、大胆な冤罪ぶりだな。しっかり仕事しろ。
女王様の推理を聞いた周囲の生徒達は「なんだー」「そんなことかよ」と口々に呟いて散らばっていった。
注目の的から外れて一安心だが、なんとも言えない恥ずかしさに襲われる。
「入学してまだ間もないのにすごい嫌われようだね」
「……それは言わんといて下さい……」
淡々と指摘してくる女王様に俺大ダメージ。
両手で顔を覆ってしょんぼり。
かなり早い段階で皆から嫌われているのは分かっていたさ。でもまさか俺を殺人未遂容疑者に仕立て上げることまで画策されるなんて思わないじゃん!?
やばいよ富裕層!行動力ありすぎでしょ!
「なんだよ、ただイジメられてこっちに追いやられただけかよ。変な演技しやがって」
「ぐっっ」
「こら槙!本当のこと言ったらツルが可哀想だろ!」
「トラ、追い討ちやめて」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 90