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転校初日の授業を終え、トラと共に寮の部屋へと戻った。
なんだか濃ゆい一日だった。初日だからからもしれないが。疲れた。
トラに続いて部屋に入り、そういえばまだ荷解きしてないんだったと思い出してさらにうんざりした。
「あれっ、なんか綺麗になってる!なんで!?妖精かな!?」
「どうも妖精こと千鶴です」
「あっ!ツルが片付けてくれたん!?さすが俺の相棒!サンキューな!」
昨日の散らかり放題だった部屋が綺麗に整理整頓されているのを見てトラは大喜びした。
うん、やっておいて良かった。
トラの反応に満足して、端に寄せて置いておいた自分の荷物の元へ移動する。
「なー、俺の物どこに仕舞えばいい?」
「あ、そうだったな。えーと、こっちのクローゼット空けたからここ全部ツルのところな」
「オーケー」
「あとは適当に置いていいよ。もう俺だけの部屋じゃないんだし好きにしてなー」
「ん。わかった」
「荷解き手伝う?」
「や、荷物少ないし大丈夫。それよかジュースとアイス買ってきて。お前の奢りで」
「げ。覚えていたか……」
「約束事はしっかり守る人間なので」
「世間ではそれをちゃっかりと言う」
「無駄口叩いてないでさっさと行く!」
「へーい」
やる気のない返事をして出て行くトラを見送り、荷解きにかかる。
たまたまとは言え、離れてもらう口実ができて良かったかなと思い、そんな自分に少し嫌気がさした。
別にトラは人の物を物色するようなヤツじゃないだろうし、荷解きを手伝ってもらっても大丈夫だったとは思うけど。
俺だって、人に触られたくないものはある。
風呂敷に包まれた重い塊を丁重に取り出す。
包みの中は両手に収まるほどの大きさの、鍵が掛かった黒い箱。
その存在を確かめるように撫で、そのままクローゼットの隅に置いた。
その後は残りの服やら鞄やらをバッサバッサと雑に仕舞い込み、風呂敷の塊は見えなくなった。
元から荷物が少なかったのと、だいぶ雑に作業していたのもあって、トラが買い物袋片手に帰ってくるころにはほとんど荷解き終えていた。
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