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手の下で跳ねるボールに意識を集中させながら、俺ドリブルだけプロ並みの腕前になりそう、なんて適当なことを思った。
もういっそドリブルの神になろうそうしよう。
普通にバスケすることを諦め、気持ちを切り替えてドリブル練習に専念しようと自分を奮い立たせる。
左手でやったり、背後でやったり。
股の下を通すのあれカッコイイよな。よしこれを機に習得しよう。
新たな目標を立て、足を開いて股の下でボールを行き来させる。
ガニ股で前後にバウンドさせてみるがなんか違う気がする。何が違うんだろう。
首をひねりながら腰を落として左右の手でドリブルを繰り返し、結果跳ね上がったボールが股間に直撃して悶絶する俺の姿はさぞかし滑稽だったろう。
ぅおぉぉう……と情けない声を出してコロコロ転がっていくボールを恨めしげに睨め付ける。
純粋に体育を楽しめない状況に追いやられた上にこの仕打ち。やるせない。
しかしボールに非はないので恨みをぶつけたってしょうがない。それにボールがないとそれこそ暇すぎて耐えられないだろうから転がるボールを拾おうと追ったら。
ばーーーーーん
文字にすると迫力に欠けるが、それ以上の勢いをもって頭に衝撃が走った。
「っ、」
俺は一言も発せずに、チカチカする視界の隅に橙色の物体を捉えてあぁボールが頭に直撃したんだなと認識したのを最後に、意識を手放した。
が、気絶したのは数分だったらしい。
こういう時たいていの漫画やドラマだったら、目が覚めると保健室で意中の人が寄り添っていたり何らかのキーマンと接触をすることになったりと今後の展開に期待を持てる場面だったりするのだが、
俺は直近に見覚えのある体育館それも変わらぬ位置で恐らく倒れたままの変わらぬ体勢で寝転んでいた。
ぼんやりする頭で遠くの壁にある時計を見ると、最後に見た時から十数分だけ先に進んでいた。
……え、待ってなんで皆何事もなかったかのようにわいわいしてんの?なんで俺倒れたまま放置されてんの?せめてボールぶつけた犯人何かしらの反応しろよ気付かないとか嘘でしょ。
なかば呆然として相変わらず暴れまくっているクラスメイト+先生を見つめた。
しかし事態は急転する様子もなく。
俺は仕方なく痛む頭を押さえ自力でヨロヨロと立ち上がった。
今日は厄日だ。
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