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「お、あった良かったー」
くすんだプレートに保健室の文字。
廊下を進んだ一番奥に目当ての場所はあった。
あれ、そういえば保健室の先生っているのかな。
この校舎にはあの3人しか先生はいなかったはず。担当するならあの保健体育の大木先生が分野的に可能性高いけど。あの人だと逆に諸症状が悪化しそうだな嫌だな。
でも3人とも毎時間授業を受け持っていることになるから、保健室に先生は常在していないイコール無人ということか。
え、じゃあ大怪我とかしても自力で手当てしなきゃいけないの?それ保健室の意味なくない?
若干ここの保健室の存在意義を疑いながら、静かに扉を開いてそっと中を伺う。
と、予想外にも人がいた。
しかもデスクの前に座っているので怪我人とか病人でもなさそうだ。
驚いてそちらをガン見したまま固まっていると、その人がふと顔を上げて俺に気付いた。
「……あ?なんだ怪我人か?」
「え、あ、いえ、あいや、はい」
「ぶはっ、どっちだよ。なに動揺してんだ」
「あ、頭打ってたんこぶできて……冷やしたいんですけど……」
「あー、ちょっと待ってな。保冷剤でいいか?」
「はい」
びっくりした。
かなり若そうだしていうかカッコイイし。
彼が保健医なのだろうか。にしては若すぎないか。でも保健医にしては白衣着てないしラフな格好だし、なんなら生徒みたいだ。
混乱しつつ、備え付けの冷蔵庫を漁る彼をじっと見つめる。
焦げ茶色の短髪に、彫りの深めな凛々しい顔立ち。体つきは大きくがっしりしていて、スポーツマンって感じ。羨ましい体格だ。
保冷剤をタオルで巻いた彼がこちらを振り返ったので、反射的に視線を外した。やべーガン見してた恥ずかしい。
しかし彼はそんなことに気付かず、穏やかな笑みを浮かべながら保冷剤を差し出した。
なにこの人めっちゃ良い人。もう好き。
俺も自然と笑顔になって、受け取ろうと差し出された保冷剤を掴み、
「……、え、?」
離れない手。
ぐぐ、と引いてもがっちり掴まれている保冷剤はびくともしない。
彼は笑顔のまま。
俺の顔は引き攣る。
沈黙の中、時計の針の音だけがやけに大きく聞こえた。
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