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18歳以上ですか?
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静かな室内に2人この距離。
聞き取れなかったわけではないはずだ。
なんとなく気まずくなって、目をパチクリさせて「えーっと、」と次の言葉を探す。
一拍おいて彼は困ったように眉を寄せた。
「……俺、何歳に見える?」
「え、うーんと、20後半くらい……?」
脈絡のない質問に戸惑いつつ思ったまま答える。
高校生でも通るし30歳と言われてもまぁ納得できるんだよなぁ。でも学校の保健医で20後半はさすがに若過ぎるか?実年齢より若く言っちゃうと気を悪くしてしまうかも。
そう思って慌てて30代と言い直そうとしたら、
彼はガクリと項垂れた。
……えっ、やっぱもっと歳いってたのかな。
「あのっ、でもやっぱりさん」
「18だ」
「……え?」
「3年Z組の生徒。高校3年生」
「……」
ま じ か 。
あぶねー今30代って言いそうになった。余計荒波を立てるところだった。
しかし20後半でも彼は傷付いたようで負のオーラを纏っている。
内心冷汗ダラダラである。
「あっ、3年生ですかー!いやぁ実は保健医にしては若いなぁ高校生みたいだなぁと思ってたんですよ!でもそこに座ってたんでまさかここの生徒とは思わず先生なのかなっていう先入観からちょっと歳上に見えちゃってあはは」
「いいよ気ぃ使わなくて……慣れてっから」
ひぇぇ傷付いてる!落ち込んでる!
でもこれ本当に思ってたことなんですよ!
しかし一度言ってしまった言葉はなかったことにもできず、後から何を言っても取り繕ってる感じになってしまってどうしようもない。
俺の必死の弁明にも、彼は少し口角を上げて憂いを帯びた瞳を伏せている。
めちゃくちゃ様になってて渋くてカッコいい。
これがまさに大人っぽく見える原因なんですけど。
大人っぽいっていう意味で、褒め言葉なんだけどなぁ。
なんて声をかけたらいいか途方に暮れたころ、授業終了の鐘がなった。
ナイスタイミングと言うべきか。
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