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教室に戻ると、俺の机の上に大量のコッペパンが盛られていた。
え、なにこれ新手のイジメ?
怪我の見舞いに来たくせに弁当顔面ヒットと背負い投げをかましやがった馬鹿トラと言い、ここのヤツらは怪我人を労わるという親切精神皆無なわけ?それにしてもこのチョイスは謎すぎる。
意味が分からず固まる俺の横でトラが爆笑している。
悲しめばいいのか怒ればいいのか、反応に困ってコッペパンをひとつ手に取り見つめる。
なんの変哲も無いただのコッペパンだ。
これを俺にどうしろと。
途方に暮れていると、誰かが近づいて来た。
「頭大丈夫か?それ、俺から詫びの品」
「お前こそ頭大丈夫か?」
すっと現れて言った川島につい冷たい視線を送った。
俺のたんこぶを心配して言ってくれたのは分かったが、詫びの品にしては何の思いやりも感じられない惨状に素直に喜べなかった。
コッペパンは嫌いじゃないが、こんなに食べたら口の中パッサパサになるわ。もはや嫌がらせレベルだわ。
俺の嫌そうな顔を見て、川島もゲラゲラと笑いだした。やっぱり面白がってんじゃねぇか。
イラッとしたので持っているコッペパンを袋から出して川島の口に突っ込んでやった。
ら、思いっきり噎せてざまあみろと鼻で笑ってやる。
「むごっぶは、ゲホッ、」
「うわ馬鹿、吐き出すなよもったいない」
「ゴホッ、お前意外と暴力的だな……」
「ここにいる誰よりもおしとやかだわ」
「いやんツルかっこいい」
「フッ……いらぬ争いは避けねばならぬよ」
「唐突に厨二出すのやめて」
「なぁコイツのキャラ掴めねぇんだけど」
俺のコッペパン攻撃にやられた川島が引きつった顔でトラに言う。
こっちだって詫びにコッペパン山積みするキャラ分かんねぇよ。
つーんとそっぽを向いて怒る俺をトラがまぁまぁと宥めるが、無視して山積みコッペパンを鞄に詰め込み始める。
おいおい入りきらないぞ。潰して入れるか。
「俺も最近理解した。ベース普通でどちらかというとツッコミ気質、時と場合によっておバカだったり良い子だったり、予測出来ないタイミングで厨二が発動する」
「すげぇ」
「ねぇ人の性格分析しないで。そして説明しないで」
思いの外冷静にかつ詳細に分析するトラに羞恥心を煽られた。
なんなんだその解説は。自分のことでも合ってるかなんて分からないがすごく恥ずかしい。
そしてトラにおバカって言われたことにかなりショックを受けた。当分立ち直れない。
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