アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
27
-
鞄でバリアしていても、妙に熱い視線を感じて身震いする。
耐えきれず後ろを振り向き、まだ電話中のトラに目で助けを求めた。
なんかこのクラスやばいヤツいるんだけど。認めたくないが貞操の危機を感じる。トラお前俺の相棒だろ何とかしてくれ。
声を出さず必死に目でそう訴える。
目が合ったトラは一度パチリ瞬いた後、俺の意を酌んでくれたのか、頷いてグッと親指を立てた。
それを見てホッと息をつく。
さすが相棒。よく分かってくれ———……
「そうそう、紹介したいヤツいてさ!最近知り合ったんだけど超面白いんだよ〜」
「えっ」
「なんか抗争に参加したいみたいだから、来週はぜってー松商も来いよ!」
「!!?」
抗争!?参加!?しないよ!!?
身に覚えのない言葉に思い切り首を横に振るが、トラは「遠慮すんなってー」とでも言いたげに笑って手をヒラヒラさせる。
ここまであからさまに拒否を態度で表しているのに伝わらないだと!?察し悪すぎか!
意思疎通のできなさに絶望する。
明らかに非行街道まっしぐらな会話に突如巻き込まれて顔面蒼白だ。
貞操の危機どころか生命の危機に押しやられた気がする。信じられない。
こちらに来て間もない俺でも、「抗争」というワードが穏やかでないものだということくらい分かる。
最初にこいつに会ったときも、抗争がどうたらとかで傷だらけだったわけだし。要は喧嘩だろう。
俺に死ねってか。
電話でどんどん話を進めるトラの目の前で、手でバッテンをつくるが全く取り合ってくれない。
それどころか、「あっ」と何かをひらめいたようにニンマリ笑い、俺を見ながら手に持つ通話中の携帯を指差した。
……嫌な予感が。
冷や汗を流しながら、何食わぬ顔でそろーっと前に向き直る。
しかし、後ろから聞こえる声を無視はできなかった。
「今そいつ近くにいるから電話かわろうか!」
「!?」
「そこにボスいねーの?じゃあお前副ボスとして挨拶してやって」
不吉な言葉に震え上がった。
ボスってなに!?日本の男子高校生がボスって単語日常会話で使う!?
そして挨拶ってそれ文字通りの挨拶じゃ済まないやつでしょ!俺には荷が重いわ!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
64 / 90