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チーム、か。
多分、あの時と同じ意味だろう。
まさか、ここに来てもその言葉を聞くとは思っていなかった。
ただあの時と違うのは、自分の状況で。
黙って男と目を合わせる。
その強い光を湛えた瞳に怖気付きそうになりながらも、隙を見せないようにひたと見つめた。
「入りません」
言い終えると同時に、鐘が鳴った。
ガタリと椅子から立ち上がる。
男は何も言わず、挑発的に口端を上げて俺を見た。
「宮田 京也(きょうや)だ」
「、」
「俺の名前。覚えておけ」
みやた、きょうや。
心の中で呟いて、頷いた。
出来ればもう、会いたくないです。
ついでに声に出さず毒付いて、彼から背を向けた。
「……ボス?」
トラの言葉をおうむ返しに呟いて、持っていた箸をぽろりと落とした。
拾えずに固まる俺を見て、トラはおかしそうに笑っている。
あの後、やはり緊張していたのか、図書室を出た途端どっと疲れて廃人のような状態で教室に戻った。
あまりに気力のない俺に、クラスメイトが珍しく心配して声をかけてくれたが、ついでにどつくのはやめてほしい。ただの暴力だから。
そして妙に鼻息荒く熱い視線を送ってくるヤツは全力で無視した。残りわずかなライフが極限まで削がれて瀕死寸前だった。
まぁ、そんなこんなでなんとか無事に寮に帰った。
作った晩ご飯をトラと食べながら、図書室でのことを思い出して話したところ、先の言葉がトラから発せられたのだ。
「そ。キョウさんはうちのボスだぜ」
「つかぬ事をお聞きしますが、ボスとは何の」
「んー、喧嘩の?」
「……ですよねー」
衝撃の事実に目眩がした。
電話越しの副ボスさんから逃げたのに、直接我が校のボスさんと接触してしまうなんて。
こんなことなら電話で逃げなきゃ良かった。まだ電話越しの副ボスさんの方がハードル低かった。
自分の行動を後悔して頭を抱える。
言われてみなくても、確かに、あの人は只者じゃなかった。オーラが半端なかった。
頂点に立つ男って、あんな感じなんだろうなって。
「思ったならすぐ逃げるべきだった……!」
「あはは、ツルどんまーい」
「トラお前分かってて黙ってただろ!」
「えー、だって止める暇もなくツル行っちゃうんだもん」
そう言いながらニヤニヤするこいつは絶対確信犯だ。もんとか言うな腹立たしい。
腹いせにトラの分のコロッケを奪って食べたらギャンギャン騒いで白飯をお椀ごと奪われた。なぜ白飯。
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