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仕方なく別のお椀を出してご飯をよそいに行く。
「あっ、ずりぃ」とか言われたがお前誰が飯作ってやってると思ってるんだ。
ジトッと見てくるのを無視して残りのコロッケも奪おうと手を伸ばしたら、すごい勢いで口に収められた。ハムスターみたいになってて笑う。
口をもごもごさせて飲み込んだ後、トラは身を乗り出した。
「で?どうだった、うちのボスは」
「……えらい美形で」
「だろだろ〜。あれで超強ぇーんだぜ、カッコ良すぎだろキョウさん!」
「へぇ」
「すっごい興味なさそう!」
だって興味ない。
本音は味噌汁と一緒に飲み込んだ。
目をキラキラさせながらボスさんの武勇伝を喋りだすトラを眺めながら、やっぱり生徒会みたいだなと、ぼんやり思った。
本校舎には生徒会がある。
それも揃いも揃って美形で、熱狂的なファンが親衛隊なんぞを編成するほど。
なかなかに頭の狂った連中だなぁと他人事に見ていたものだ。
不良ばかりのここでも、似たような風潮があるのだと再認識する。さすがに親衛隊なるものはなさそうだけど。
……いや、待てよ。
ハッと一つの可能性に気が付いて固まる。
得意げに語っているトラの姿が、生徒会メンバーを崇め讃える親衛隊たちの姿と重なった。
つらつら語られる内容なんかは一切耳に入らず、真剣な面持ちでそれを遮るように口を開いた。
「そんでさーその時キョウさんが……」
「ねぇ、チームって、向こうで言う親衛隊みたいなもん?」
まさかと思って恐る恐る尋ねる。
「親衛隊」を不良仕様にしたら「チーム」になるのかもしれない。言い方が違うだけなのかもしれない。
つまり俺はあの男にチームという名の親衛隊になれと誘われたということになるのか。
そこまで考えてぞっとした。
そんなものはより御免だ。なにが悲しくて野郎を崇拝する団体に加入せねばならんのだ。それだったら売れない地下アイドルのファンクラブに課金した方がはるかに有意義だ。
顔を引きつらせる俺に、トラがきょとんとした。
「親衛隊?あんな気味悪ぃ宗教団体と一緒にすんなよー。ただの喧嘩する仲間みてーなモンだし!」
「……それは良かった」
って素直に喜べないし。
親衛隊が気味悪いなら喧嘩するだけのチームだって恐ろしいしどっちもどっちだわ。
内心毒付きながらも、苦笑いだけで抑えた。
この学園はやっぱり変だ。
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