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「あー!なになに優しく笑っちゃって!恋でも芽生えちゃった感じ!?」
「なに言ってんですか。サンドイッチの具落としてますよ」
身を乗り出した衝撃でレタスやらトマトやらがボトボト落ちている。床に落ちたものはさすがにそのままだが、デスクの上に落ちたものをなんの躊躇いもなくパンの間に戻して食べている有野先生に若干引く。
彼は見た目に反してかなり豪快なところがある。生徒達の中で一番恐れられているのも有野先生だったりする。
それまで無言で茹でブロッコリーをつまんでいた大木先生がふと顔を上げた。
「そいやその新人君、柳と川島と仲良いんじゃないか?体育の授業んとき、3人でなんか話してたぞ」
「あぁ、柳とは同室で結構気が合ったみたいですね。川島の方は知らないですが」
「柳ってあの留年くん?あの子と気が合うって……おバカ系?」
「そういう捉え方もありますね」
柳=バカという認識はこの地ではもはや常識となっている。
初日の授業中なにやら2人で盛り上がっていたのを思い出す。ちらっと聞こえただけでもあの会話はバカ全開だった。そして望月は想像を遥かに超えたイタいヤツだったことが判明した。
ちなみにあの日は初日だからと大目に見てやったが、その後の私語は厳しく締め上げている。
ああいうイタい人間のことを俗に何て言うんだっけか。えーと確か……。
「厨二病って分かります?」
「え?うーんとアレでしょ、恋煩い的な」
「違うぞ有野先生!呪いのナントカ〜とか古より授かりしナントカ〜って言うヤツだろォ?」
「そうそれ。そんな感じです」
「は〜?なにそれ?どういうこと?」
「俺にも分からないですよ。まぁほとんど害はない人間なんでほっといても大丈夫ですよ」
なかば投げやりに言うと、有野先生は「え〜」と不満げな声を出しながら椅子を前後に揺らす。
いつのまにかサンドイッチを食べ終えたようだ。
「なんかテキトーじゃない?いつもみたいに素性調べてないのぉ?」
言い方は軽々しいが、どこかトゲのある言葉にチラリと目をやって、残りの牛丼を掻き込む。
大木先生はようやくブロッコリーを片付けてサラダチキンに取り掛かっている。いつもどおり昼休み中に食べ終わらないだろう。それでいつもバナナを食べながら次の授業へ向かうもんだから生徒達にゴリラだなんだと揶揄われているのだが本人は気付いていない。
何も言わない俺に有野先生の視線が鋭くなってきたのを感じ、食べ終わった牛丼の容器と箸を袋に入れて縛る。
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