アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
20
-
その後、みんなの爆笑も止み授業は進んでいったが、時折俺を見ては気遣わしげに微笑まれるので始終落ち着かなかった。
一体俺が何をしたと言うんだ。
「よォし、今日の授業はここまで!明日はまた体育館でバスケだからなァ!」
その言葉を合図に、俺はパタリと机に突っ伏した。
座っていただけなのに、授業が終わる頃にはぐったり疲れきってしまった。
目が合わないようにずっと教科書を凝視していたが、それでもあの生温い視線をひしひしと感じ取ってしまい無駄に精神を消耗した。
本当になんだったんだ。何かの罠か?
睨むならまだしも、なんであんな同情するような目を——……
「……あ」
ふとひとつの理由が思い当たったのと、目の前に影ができたのは同時だった。
顔を上げると、大木先生が目の前に立っていた。
授業中も動きを止めなかったダンベルを、今はただぶら下げている。
「望月」
「はい」
「……何か、困ってることねェか?」
「え、特には……」
「そ、そうか。その……私生活で悩んだら黒崎先生に相談するといい!あの人は親身になってくれるぞ!あと学校生活については有野先生だな!あの人が一番ここ長いからなァ!」
「はぁ……」
ペラペラと相談を勧める大木先生に生返事をしてしまう。
これで、先生が急に不自然な態度になった理由について確信した。
心配される必要はないが、理由が分かった今、先生の気遣いは素直に嬉しく思う。
ニコッと笑って「分かりました。ありがとうございます」と礼を言ったが、相談先に大木先生本人が抜けているじゃないかと気が付いた。
「じゃあ大木先生には何を相談すればいいんですか?」
「えっ、あー……性生活?」
「こんのクソ教師ィ!!黙って聞いてりゃセクハラじゃねぇかー!!」
やけに静かだと思っていたら、後ろで聞き耳を立てていたらしい。
トラが飛び出て間に入り、俺を先生から隠すように両手を広げて立ちはだかった。
まさに虎のようにガルルルッと威嚇するトラを宥めようとするが聞いちゃいない。
先生は先生でセクハラを言った自覚がないのかきょとんとしている。
私生活、学校生活ときて別の〇〇生活を考えようとして、大木先生の担当分野(保健体育)から"性生活"が導き出されてしまっただけだろう。
確かに真顔で言われて少しビビったが、大木先生のキャラクターはなんとなく把握してきたから思考回路は理解できた。
本人には言わないがトラと同じようなおバカ思考だからな。慣れたもんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
85 / 90