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なんとか戦闘態勢のトラを抑え、つられて闘争心をあらわにしそうになった先生を慌てて追い払った。
あなた達が最大の悩みのタネなんですけど。
「大丈夫かツル!なんでアイツに狙われてんの!?」
「いや狙われてないから。ただ転入したばっかの俺を心配してくれただけだよ」
「この前はボール当たって倒れたツルを気にもしてなかったくせに!」
「え、気にもしてなかったの?それは一教師としてどうなの?」
結構派手に事故だったんだけど。
ちなみに今でもたんこぶは健在だ。
憤慨するトラになぜか俺が大木先生のフォローをしながら、さっきの先生の様子を思い出す。
多分、俺の経歴か何かを知ったのだろう。
本校舎の時も先生達はそこまで知らなかったようだから、唯一知っている学園長から聞いたか……独自で調べられたか、だな。
この学園の特性からして、後者の可能性が高いだろう。
どこまで知られたかは分からないが、あの様子だと両親のことくらいまでかな。
この左目のことも知られたかもしれない。
考え込んでいるうちに知らず顔が強張ってしまったらしい。トラが心配そうに覗き込んできた。
「ツル?難しい顔してどうした?」
「あ、いや……」
「心配するな!アイツに何かされたら言ってな!俺が戦ってやるから!」
「うん、ありがと」
トラの心配は勘違いだが、ヘラリと笑って流した。
大木先生もああ見えて教師だ。生徒達に言いふらすことはないだろうが……。
でもあの様子じゃなぁ。典型的な嘘吐けないタイプっぽいもんなぁ。
一抹の不安を抱きながらも、余計な考えを振り切るように頭を振った。
そんなことよりも、当面の問題は目の前にある。
「トラ、いつ制服取りに行くの?」
「……あっ」
結局次の授業にも間に合わず、体育着のまま迎えた2限目の日本史では黒崎先生に雑用係に任命され奴隷のごとく働かされていた。
プリント配布や教材の運搬ならまだしも、途中から先生の椅子になっていたのは雑用の範疇を超えるどころか道徳倫理に反していてさすがにZ区域の無法地帯さに震えた。
その後トラは青い顔をして寮にすっ飛んで戻り制服に着替えてきた。しばらくメソメソする彼を慰めるのに忙しかった。
そんなこんなで午前中も終わり昼休みに入ったとき、俺は完全復活したトラに一気に気分を突き落とされたのだった。
「ツル!チームの集会、明日の朝10時だからな!」
「エッ?」
「忘れたとは言わせんぞ〜。一緒に行こうな!」
キラッキラの笑顔を向けられ、やっぱり遠慮しときますとはとても言えなかった。
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