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食欲ないと思っていたが、村田に食べさせてもらっているうちに気付いたら結構食べていた。
タッパーがあっという間に空になり、手を合わせてごちそうさまをする。いつもは食い逃げする村田も、今日はガッツリ食べさせたので無理矢理手を掴んでごちそうさまをさせた。
食前食後の挨拶は忘れずに。俺の小さなモットーである。
「そういやさっき話してんの聞こえたけど望月集会に来させるってマジ?」
「おうともよ。俺の相棒だからな!」
「や、ちょこっと覗くだけな」
これが本題とばかりに身を乗り出して聞く村田に対し、さも当然と言う返答をするトラに、焦って割って入る。
参加ではなくあくまで見学だ。そして今回だけだ。変に勘違いをされたら困る。
村田はチラリと俺を見て、ふーんと意味ありげに呟いた。
「……ま、柳が連れてくって言うんなら止めねーけど。殺られねぇようせいぜい気ィつけろよー」
嫌な言葉を残し、ヒラヒラ手を振って去っていく村田の後姿を呆然と見送った。
え、殺られんの?
集会ってただ人が集まる会じゃないの?
人が集まる会で殺人事件起きちゃうの?なにそれただのリンチじゃん。
良からぬ想像をして青ざめるが、トラは「ツルの貞操はオレが守る!」と息巻いている。絶対そっちのヤラレルではない。
「ねぇ、本当に俺行って大丈夫なの?反感買わない?」
「だーいじょうぶだって!キョウさんさえOKなら誰も文句言わねーよ」
「その人から許可取った覚えないし!」
「俺が取った。ホラ『勝手にしろ』って!」
そう言って携帯の画面を見せられた。確かにそんなやり取りがされてある。
「勝手にしろ」は許可というのか……。
不安は拭いきれず、訴えるようにじっとトラを見つめるが、俺の思いは届かずヨシヨシと頭を撫でられた。
ムッとしてその手を払いのけるとショックを受けた顔をされた。
「……俺の左目が暴走して怪我をしても文句は言うなよ」
「あっ久々の厨二発言」
捨て台詞を吐いて立ち上がる。
トラには何故か拝まれてバカにされた気がしたが無視した。
タッパーを持って廊下へ出る。
昼休みのZ組はデンジャラス度倍増だ。至るところで小競り合いがあるのは勿論のこと、真っ昼間なのに花火が打ち上がったりしている。
今までにも何度か生徒の火遊びで校舎が燃えたことがあるらしい。
トラが笑いながら話していたが、笑い事じゃない。火事なんて簡単に人が死ぬんだぞ。
ここの生徒達の自由奔放なところは好ましいが、そういうところは嫌いだ。
外で花火をしている生徒達を睨みながら、かといってわざわざ注意する勇気もないので、黙ってタッパーを水道で水洗いする。
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