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よし、こんなもんかな。
キュ、蛇口を捻って水を止める。
食べた後そのまま放置するのとすぐ水洗いするのとじゃニオイ落ちが全然違うからな。
本当はすぐに洗剤で洗いたいが、さすがに洗剤もスポンジも置いてないから仕方ない。
軽く振って水滴を飛ばし、教室へ戻ろうと振り返った。
「よォ」
「げ」
上から降ってきた声に顔を上げ、思わず嫌そうな声が出た。
俺の反応に、川島がピクリと片眉を上げる。
真後ろにいたから驚いただけだ。気配なかったんだが。
それにしても距離が近かったので、一歩後退ったが、すぐ水道の縁にぶつかったため仕方なくその場で睨み見上げる。
「くっ……俺を壁に追い詰めてどうする気だ……!」
「追い詰めてはねーよ。お前小っさいから距離感掴めなかったわ」
そう言って一歩後ろに下がった川島は悪びれもせず鼻で笑う。
この近さで距離感も何も、身長は関係ないだろうが!と反論したいのを何とか飲み込む。反論したらなんだか負けな気がする。
コイツはなんでいちいち腹立たしい言い方をするのか。俺に恨みでもあるのだろうか。
じっとその色素の薄い瞳を覗き込んでみるが、そこには何の色も浮かんでいない。さざなみさえ立たない静かな湖面を見ているかのようだ。
その視線に薄ら寒いものを感じて、思わず身構える。
川島の目は静かに俺を捉えている。その表情は気味が悪いほど読めない。
かと思えば、予想外の代物を目の前に突き出された。
チーカマだった。
「……ンッ?」
予想外すぎて変な声出たわ。
ズルッと肩の力が抜け、間抜け面で突き出されたチーカマと川島の顔を交互に見やる。
彼の顔は相変わらずクールビューティーを保っている。
「これじゃねーの?」
「は?何が?」
「この前買ったやつ。味違ぇんだけど……」
一拍置いて、あぁ、と合点がいった。
川島が言っているのは、この前購買で俺が無理矢理買わせた魚肉ソーセージのことだろう。
同じものを買ったつもりだったが、味が違うと。
当然だ。それは魚肉ソーセージではなくチーズかまぼこだからな。似て非なるものだ。
そこまで解釈して、澄まし顔の川島にたまらず吹き出した。
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