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「お前がZ落ちした理由はなんだ?」
「……聞いてないんですか?」
当然知られているものと思っていた俺は驚いた。
意外そうにしていると、先生は「Zの人間は徹底的に別物扱いされるから、向こうの要請に応えるだけだ」と言った。
つまり、両者間での交流はほとんどなく、Z側の事情を考慮されたりはしないし、向こうの情報等も与えられないのだそうだ。
あちらがZ落ちを決定した生徒は、有無を言わせず牢獄に収容される、ということか。
随分と、横暴だな。
なんだか腑に落ちない。
むぅ、と考え込んでいると、先生は勘違いしたのか、「言いたくないなら言わなくていい」と気遣うように俺の頭にぽんと手を乗せた。
うわぁ、この人めちゃくちゃ良い先生だ。超優しい。向こうではこんな優しくしてくれた人間いなかったぞ。
嬉しくなって、へらりと頬を緩めて笑う。
「や、別に大したことではないです。ちょっとうっかり巻き込まれた?感じで」
ちゃんと説明したいのだが、いかんせん俺自身よく分からないのだ。
気付いたらそこは事件現場、そして俺は現行犯逮捕でさようなら、だ。
あの時はちょっと絶望したが、今ここに来て黒崎先生と話して、もうすっかり開き直っている。むしろ落ちて良かったかも、なんて思う。
もともとあんな金持ち空間、俺には似合わなかったし。
へらへらしてる俺に先生はまだ心配そうに、俺の左目を指差した。
「その左目、関係あるのか?」
「あー……」
先生の指差す先には、黒い眼帯で隠された俺の左目。
黒いから医療用ではないのは明らかだ。
この姿がお坊ちゃん達に気味悪がられて入学早々ガン無視からのイジメへ発展したという悲しい過去があるが、俺自身そんなにダメージはないからわざわざ心配させるようなことは言わなくていいか。
少し考えた後、背筋を伸ばして真剣な顔をつくる。
「これは俺のファッションです。勲章です。アイデンティティです。幼少期から外すことは許されていない運命共同体なのです」
「……あ、そう」
俺がキリッとして言い放つと、先生は若干呆れた顔をした。
先生の中で変なヤツだと認識されてしまった気がする。
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