アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
10
-
音のした窓に目をやると、くっきりと張り付いた両の手のひら。
あれ?ここ、2階……
一瞬意識が飛びそうになったが、なんとか堪える。こんなんでビビってたら男が廃るぞ!
固まったまま凝視していると、その手は器用にもゆっくり窓を開け始めた。
そして、空いたところからガッ!と窓枠を掴んで入り込んでこようとする手。
これは本格的にやばいやつぅぅう!!
ガタタッと席を立って逃げようとしたとき、その窓からひょこっと顔が現れた。
「よっしゃセーフ!!!」
「アウトだボケ。30分遅刻。窓から登校すんのいい加減やめろ」
「あてっ」
スコーン!と先生が放ったチョークが見事に彼のおでこを直撃した。
金髪だが根元の方は黒くなっている短髪頭。
ちょっとつり目だが人懐こそうな雰囲気で、ヤンチャ盛りって感じの少年だった。
「望月、その窓閉めてくれ」
「あ、ハイ」
「え!?待って俺まだ掴まってるんだけどってちょおおお!挟む挟む挟んでる!え!?誰!?」
先生に言われたことには従うしかないので早速お構いなしに窓を閉めようとすると、彼は俺が初めて見る顔だと気付いたようで興味津々に見てきた。
俺は窓を閉めようとする手は止めず、律儀に自己紹介する。
「新しくZ組になった望月です。よろしく」
「え!?あぁ!そういやそんな話聞いたな!あれっ、じゃあ俺と同室じゃね!?柳っす!よろしくな!」
ニカッと人好きのする笑顔を向けた彼——柳くん。
おぉ、名前で想像してた通りの子だ。良かった、仲良くなれそうだ。
俺も笑顔になって、握手しようと手を伸ばす。
柳くんもそれに応えようと窓枠から手を離し——
「ぎゃぁぁああぁ……」
「柳くぅぅぅん!!?」
落ちていった。
「何やってんだお前ら……」
後ろで先生が呆れたように呟き、ため息をついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 90