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「すげー!お前本物じゃん!本物の厨二病初めて見たわ!やべぇ面白すぎる!!お前最高!!」
爆笑しながら俺の手をぶんぶん振る柳くん。やけに目をキラキラと輝かせている。
ちょっと興奮しすぎじゃないだろうか。
きっと一瞬にしてみんなの目が恐怖に染まるのだと思っていた俺は、予想外の反応に戸惑う。
「あの、柳くん?俺のこと、気味悪くないの?」
「いやいやナイスキャラだろ!俺そういうの大好き!悪いけど近付きまくるからよろしく!」
なんだか会話が噛み合っていない気もするが、柳くんの屈託のない笑顔と言葉に感動して、嬉しさがこみ上げる。
入学してから誰とも友達になれなかったから、なおさら。
掴まれた手にもう片方の手を添え、頬を緩めてへにゃりと笑った。
「ありがとー……嬉しい、よろしく」
「わっ、なにそれ可愛い!厨二病なのに可愛いとか新しい!」
よく分からないことを言いながら、頭をぐしゃぐしゃ撫でられた。
その手を慌てて止める。
確かに背は低いが可愛がられる趣味はないぞ!
本校舎には女の子にしか見えないようなキャピキャピした男の子がたくさんいたからああいうのが可愛がられる対象だろう。
だがしかしZ校舎には皆無だった。見事に華がないね!
いやむしろこれこそが男子校のあるべき姿なんだ。男臭さ万歳。
俺と柳くんは波長が合うようで、すぐに打ち解けた。授業が始まるまで椅子ごと後ろに向けてお喋りする。
「下の名前はなんつーの?」
「千鶴だよ」
「おぉ、なんか綺麗な名前!似合う!眼帯をのぞけば!」
一言余計だが、柳くんの歯に衣着せぬ物言いはいっそ清々しい。
素直に綺麗だと言われるのは嬉しいものだ。俺自身、この名前には誇りを持っているのだから。
感謝を込めてにっこり笑う。
「ありがと。柳くんは可愛い名前だよね。とらすけ。トラって呼んでいい?」
「へ?」
柳くんは一瞬きょとんとした後、「あぁ!」と何か納得したような様子でカラカラ笑いだした。
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