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俺はわけも分からないまま転ばないよう着いて行くのに必死だ。
後ろであーちゃんが「オイコラ柳ィィ!転入生とお話したかったのにぃ!つーかテメェらもフライングすんなぁぁ!!」と、先ほどまでの可愛らしい声とはかけ離れたドスの利いた声で叫んでいるのが聞こえて身震いした。
俺達だけではなく他のみんなもほぼ同時に教室を飛び出したらしく、総勢30人ほどで全力疾走しているこの状況。意味が分からない。
古い校舎に、ドダバタうるさく足音が響き渡る。
ちらりと後方に目をやると、見た目まんま不良なお人達が恐ろしい形相で追いかけてきている。
なんという地獄絵図!捕まったら死不可避!!
クラスメイトとして認めてもらえたとか思ったの俺の勘違いだった!?今になって駆逐されるの俺!?なにこの時間差攻撃!!
さすがと言うべきか、Z組の人達は俺の秘めたる悪しき力の存在にも物怖じしないようだ。
ちょっとくらい畏怖してくれたっていいじゃん!?
なかばパニックになりながらも引っ張られるまま走り続け、ようやく立ち止まったトラの背中に勢いあまってぶつかった。
「っ、ちょとトラ、なに……」
「あちゃー、2年生に先越されてる。余裕だと思ったのにー」
不満げに呟いたトラの視線の先を追うと、そこは食堂だった。
ここの食堂はかなり小さく、教室2つ分ほどのスペースしかない。
もちろん席もそれ相応の数しかないため、今見た限りでも生徒たちが押し寄せていてほとんど空いていない。
トラが言うには今食堂を埋めているのは2年生らしい。
本来はネクタイの色が学年ごとに違っていてそこで見分けられるのだが、なんせここの生徒たちはほとんど制服を着崩していたりもはや明らかに私服だったりで、ぱっと見じゃ何年生かなんて分からない。
上級生が占領してしまっているのなら仕方ない。購買で買って別の場所で食べるしかないかな。
と、思ったのだが。
「え、ちょっと、トラ?席空いてるとこあった?」
「ん?いーや?空けるのさ!」
「は?」
俺の腕を掴んだまま、躊躇いなくズンズン食堂の中へ入っていくトラに嫌な予感しかない。
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