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棒倒しも棒倒しで、色別で1対1のトーナメント戦と言うめっちゃくちゃ時間がかかるものだった。
けど、全校生徒の3分の2がでる種目なだけあって、盛り上がるには盛り上がる。
男子校で、男の上半身裸なんて誰得だよ、って本気で思ってたけど、主に運動部の人が出てるだけあって、割りと皆引き締まった体をしていたのは認める。
だけど、観客席の生徒達の中にははうっとりとした顔をして応援していた人達がいて、さすがにそれには引いた。
……なんとも気持ち悪い。
千先輩に何度「顔ひきつってるよ」と言われたことか。
千先輩は、男子校だししょうがないと苦笑いしていたけれど、3回目となるとやっぱ慣れるものなのか。俺は絶対慣れないと思う。
まぁそんなこんなで棒倒しは黒(6組)が優勝してた。
千先輩曰く、夢菱先輩のいるところらしい。
その夢菱先輩は遠い逆の応援席でバスケ部の人たちと一緒にいた。
棒倒しが終わればまた自分の色の応援席に戻る。
残るのは最後のリレーだけで、どこの色が勝つとか、誰が速いとか、そんな会話があちこちで聞こえてきた。
「はぁ…、来年は俺も大縄にしようかな。」
「谷地島、お疲れ様。」
「ありがと。本当むさ苦しいね、男子校って。」
最後の言葉を吐き捨てるように言った谷地島からはいつものような穏やかさが消えていて、一瞬寒気がした。
それならなんで男子校を選んだのか、なんてとてもじゃないけど聞けなかった。
数秒の沈黙のあと、苦笑いした谷地島はごめんと言って俺の隣に座る。
「ちょっと嫌なことあって。」
「俺で聞けることなら聞くけど?」
「ありがと。でも大丈夫だよ。最後のリレーだし、応援しないと。羽桜の応援するんだろ?」
「あぁ、うん。」
何も言えなくなったとき、ちょうど最後のリレーにでる色の入場が始まる。
予選一位の青と赤を先頭に、ピンクとオレンジ、水色と黒、それぞれのハチマキをした人が入ってくる。
最後で、しかも一番の見せ場なだけあって、今日1日で一番盛り上がる。
あちこちから応援の声が聞こえてきて、本選に出れなかった色の応援席からは、好きな色の応援の声が聞こえてきた。
「勝ってほしいね。」
無意識に呟いた言葉は、小さくて、だけどちゃんと谷地島には聞こえてたらしい。
「羽桜なら、先輩達なら勝ってくれるよ。」
「そうだよね、」
『最終種目、色別リレー本選。
1走目の人は準備してください。』
1走目でバトンをもらい、準備してる久夜と彼方。
直接対決はこれが最初で最後。
谷地島は2走目らしい久我君の方を見ていた。
ふと、皆がみんな、毎日楽しく生きていけるわけではないのだと、そんなことを考えてしまった。
久夜と彼方は、さっきのように少し何かを話してから、自分達のスタート位置につく。
3レーンに久夜、4レーンに彼方。
彼方の方が若干前からのスタートで。
6人の1年生が、位置について、準備を終えた頃に放送がかかる。
『色別リレー、本選
位置について、よーい………』
小さく息を吸う。
-----パンっ !!!!!!!!
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