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「…おかえり、梁瀬。
その顔やと、仲直りできたん?」
「うん。帰ろ。久夜にもね話したいことあるんだ。」
勉強していたのか、数学の教科書とノートを閉じた久夜は優しく笑った。
俺も鞄を持って、久夜が準備し終わるのを待つ。
「うわっ!えっ、なに!?どうしたの…?」
準備が終わった久夜が、立ち上がると同時に俺を抱きしめる。
何がなんだかわからないままとりあえず抱きしめ返したけど……どうしたんだろ…?
「…なんも。ただちょっと不安になったん。悪い話やないよな?」
「うん。久夜が心配するようなことじゃないよ。俺の過去の話。聞いてほしくて。」
「そか。ならええんや。急に悪かったな。」
久夜の腕から解放されて一緒に教室をでる。
言い方、悪かったな。
ちゃんと詳しく言えばよかった。
心の中で久夜に謝ってから、その手を掴んだ。
久夜は何も言わずに握り返してくれた。
「久夜。俺と彼方の話、聞いてくれる?」
「あぁ。ちゃんと聞く。」
「俺が彼方と出会ったのは、小学校4年生の時。
たまたま同じクラスになったのが始まり。
彼方、今は身長高いけど昔は今よりずっと背が小さくて、もっと大人しくて、あぁでも足は速かったな。
でも基本は一人でいるようなやつだった。
休み時間に皆が外で遊んでても、1人教室に残るみたいな?そんな感じのやつだった。
そんなある日、偶々、本当に偶然俺が彼方に声をかけた。
理由なんて覚えてないんだ。ただ、なんとなく。」
同じ空間にいるのに、全く知らない振りが、俺には出来なかっただけなのかもしれない。
今は忘れてしまった、声をかけた動機。
「あの頃の俺は今よりもっと活発で、行動派だった。
自分で言うのもあれだけど結構クラスの中心的な存在だったんだよ。
まっ、中学になってから大人しくなったけどな。」
純粋に手を差しのべた。
日陰にしかいなかった彼方に、あの頃の俺は、ただ単純に
『一緒に遊ぼう』
と、キラキラした目をして言ったらしい。
小学校6年生の頃に彼方に言われた。
「最初に彼方を引っ張ったのは俺だった。」
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