アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
「…どこも間違っとらん、って俺は思うけどな。」
「へっ?」
「お前も氷野も、お互いを大切にしたかったんやろ。その気持ちは何も間違っとらん。
それに、氷野にとっては、お前も十分遠い存在やったんやないの?
不安やったんやと思うで。」
俺が彼方にとって遠い存在…?
そんなわけない。だって、いつだって距離を感じてたのは俺の方だ。
自嘲気味に笑った俺の手を、真剣な顔をした久夜が握る。
その目はいつものようにまっすぐと俺を見つめていた。
「さすがに、無理矢理犯すちゅーのは褒められたことやないけど、そこまでしても繋ぎ止めたかったんやろーな…」
段々と小さくなっていく久夜の声。
繋ぎ止めたかった……、彼方が同じことを言っていた。
俺が拒絶した、彼方の想い。
久夜にもわかるのかな。同じことが。
「久夜。」
「…悪いことしたんやろか、あいつに。
でもごめんなぁ。俺、お前だけは手放す気ないねん。」
沈んでいた声は、なお苦しげにごめんと呟いた。
「手放さないで。
間違いじゃなかったって言ってくれた久夜に、俺と付き合うことを諦めてほしくないよ…。」
選んだ道も、自分の思いも、否定しないでくれた久夜だから。
謝ってほしくない。
「俺は、今、久夜と付き合えてることが本当に嬉しいんだ。」
俺は今、すごく幸せだから。
久夜に俺と付き合うことを後悔してほしくない。
久夜は…違うのかな……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
50 / 80