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『彼方は本当すげーな。清向学園から推薦くるとか。』
『……行くかどうかは悩んでる。』
『なんでだよ!?あの清向学園だぞ!?県下1の文武両道校!!頭もよくて部活も全国大会常連の清向学園!!皆が憧れる超有名学校だぞ!?』
『うーん。そうだけど……』
全国大会で優勝した彼方には、引く手あまたの推薦がきた。
その中には陸上の強豪校がいくつもあった。
それを彼方が悩む理由はただ1つ。
梁瀬と離れるのが嫌だったからである。
その頃には、彼方と梁瀬はセットにされることが多くなり、2人で何かすることが多かった。
いくら梁瀬がそれなりに賢いと言えど、さすがに一般受験で清向学園には入れない。
彼方が清向学園を選べば、梁瀬とは会えなくなる。
それだけのために、彼方は悩んでいた。
『陸上も強いだろ!?何に悩むんだよ。』
『俺、別に陸上が好きなわけじゃないから……』
『…はぁ!?』
彼方は練習を他人の倍する。手も抜かないし、常に真剣。
だが、彼方の理由は常に梁瀬中心である。
彼方はそれを梁瀬に言わなければ、梁瀬がそれに気づくわけでもない。
気持ちは言わなければ伝わらないが、2人ともそれをしなかった。
近くにいたからこそ、言わなくても伝わっていると思っていた。
……そんな2人がすれ違うのに時間はかからなかった。
『うわっ!?なにすんだよ、彼方!』
『梁瀬がわかってくれないから。』
『何をだよ!っつーか離せ!!』
『それは、できない。』
高校受験が近づいてきた10月半ば。
いつものように彼方の家で勉強していた梁瀬は、突然彼方に押し倒されてパニックになっていた。
こんなことをされる理由もわからない。
押し返しても動くことのない彼方の力の強さ。
梁瀬は初めて、彼方の無表情さが怖いと感じた。
『ちょっ、ほんと…やめろって!あ、やだっ!』
『梁瀬は、……いいや。なんでもない。』
『、っ…かな、た…!!やめろって!!』
梁瀬の静止も聞かず、彼方は無理矢理に梁瀬の服を剥いでいく。
必死に止める梁瀬の瞳からは涙が浮かんで、一筋、また一筋と溢れる。
そんな梁瀬にお構い無しに、彼方は力ずくで梁瀬を抱いた。
彼方の心に残ったもの。
梁瀬には分からない、彼方の苦しみ。
梁瀬は抵抗する気も失せ、されるがままになっていた。
彼方がはっ、とした頃には、梁瀬の意識は飛んでいた。彼方は誰にも届かないままごめんと呟いた。
それから2人の歪な関係が3ヶ月近く続く。
学校では仲のいい2人のまま、家では時々体を重ねる。
逃げ場のない恐怖を感じる梁瀬。
彼方は完全に清向学園からの推薦を蹴っていた。
高校受験が迫る頃、彼方は梁瀬が一時期目指していた高校を目標に勉強していた。
お互い、妙にぎこちなくなった関係は、互いの進学先など話し合うことすらできなくなっていた。
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