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番外編2~テストのお話し~
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「久夜、今日の夕方ちょっと俺に時間くれない??」
「ええよ。どないした?」
「物理…物理が、意味わかんなくて。」
じめじめとする暑さになった6月上旬。
3日後から始まる高校初のテストに俺は悩まされていた。
体育祭が終わって1週間、切り替えろと言わんばかりのテスト前の部活禁止期間で、もう2週間近く部活には行ってない。
なんで体育祭のあとにテストがあるのか、文句を言いたい。
部活も出来ないし、それにも文句を言いたい。
ただ次のテストは9月だから夏休みが明けるまでテストに悩まされる心配はない。
……まぁその前に目前に迫ったテストを乗り気る必要はあるわけだけど。
授業をちゃんと聞いていたにも関わらず、解けない物理基礎。
物理嫌いだ。物理なんていらないと思う。
本当に。なんでやらされてるんだろう。
……思考回路は完全に八つ当たりに走ってた。
久夜に笑われながらも、許可を貰えた。
「今日、俺ん家で勉強する?静かなところのが落ち着いて出来るやろ。」
「久夜ん家??行ってみたい!」
俺の7駅前で降りてしまう久夜の家を俺は知らない。
ちなみに、今どうゆう家族形態をしてるのかも知らない。
聞けない。無理。そんな勇気俺にはない。
だから、久夜から誘ってくれるのは嬉しかった。
キーンコーン……とありきたりなチャイムが鳴って、皆帰りの支度をしだす。
俺も支度をして、HRが終わるのを待った。
久夜の家……楽しみなんだけど。
「よーし、今日のホームルームはこれで終わりだ。お前ら気をつけて帰れよ!」
担任のその言葉で礼をしてさよならする。
やっと終わった。
久夜も支度は終わってたらしく、すぐに二人で教室をでた。
「久夜は物理得意?」
「んー、普通かな。」
「じゃあ数学は?」
「普通。」
「…好きな科目とかあんの?」
「ないなぁ。どれも普通。好きとか嫌いとか考えたことないな。」
帰り道にそんな話をして、バッサリ切られた俺は、若干傷心。
好きな科目も嫌いなのもないとか、逆にすげーよ。
「梁瀬は?好きな科目とかあるん?」
「社会。世界史も日本史も好き。」
……好きなだけで、出来るわけじゃないけど。
「梁瀬は文系やな。あ、ここ。」
「……え、ここ?ここ、久夜ん家?」
「せやで。」
「………マジかよ。」
想像以上に大きいんですけど。
周りを柵に覆われ、草木が生い茂って、外から中が見えないようになっている。
けど、外からでも家の大きさは分かるわけで、大豪邸とはいかないまでも、多分相当でかい。
綺麗な門から中に入れば、たくさんの花の咲いた庭が広がっている。
……なにここ。
玄関までちょっとした小道を歩いて、大きな家の前にくる。
「本当にここ、久夜ん家?」
「なにそんなに疑っとるん?失礼なやっちゃなー」
「だって…」
「ただいまー」
俺の言葉を待たないで、なに食わぬ顔をして中に入っていく久夜。
しょうがないからお邪魔しますと呟いて後を追う。
中も中で、お花が生けてあったり絵が飾ってあったり、思ってる以上に豪邸。
怖いんだけど。
もっと普通の家を想像してたのに……。
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