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『文化部、第一部の人は用意してください。』
アナウンスが流れて文化部の半分ぐらいが用意をし始める。
部活数の関係で、文化部も運動部も2部に分ける。
合計4部のタイム順で最後に上位6部活が走るみたいな。
とにかくリレーと予選が大好きな学校らしい。
『文化部、第一部、位置について、よーい』
----パンっ !!!!
始まった文化部からのリレーはそれでも十分に盛り上がり、俺のユニフォームからみた部活当てゲームの答え合わせも一緒にする。
園芸部とか、絶対分かるわけなくね??吹奏楽部すら分からなかったし。
全体的な結論としては文化部は見た目じゃ分からないってこと。
「やっと運動部だねー。バスケ部は1部って言ってたから先かな。サッカーは2部だって。」
「運動部は分かりやすくていいですね…」
「ん?そ、そうだね…?なにが??」
「見た目で部活が分かるので。」
「あぁ。そうだね。」
千先輩に苦笑いされた……
でも、運動部の1部の人達が用意を始めると、どんどん歓声も大きくなって。
見た目で分かる運動部1部には、野球部とかバレー部、柔道とかレスリング部とかがいた。
『運動部、第一部、位置について、よーい…』
----パンっ!!!!
ピストルの音と共に飛び出したのはバレー部とバスケ部。
バスケ部の一走目は橘木先輩で。
安定の早さだ。
「衿夜ー!!いけーー!!!」
「衿夜せんぱーい!!!!」
「負けんな春樹!!!!」
あちこちから、いろんな人を呼ぶ声がして、熱気がヤバい。
バレー部の人も速かったけど、橘木先輩の方が若干早く葛城先輩へバトンパスしてた。
「やっぱバスケ部つえーな!」
「今年もバスケとサッカーの一騎打ちだろ。」
「だよなー」
「バレーも頑張ってたけどな」
「それ言うなら全部そうだろ。」
そんな声が辺りから聞こえてきたのは、運動部2部が終わってタイム集計をしてる間だった。
バスケ部は結局、1部では1位で、最後の方の先輩たちはわりと手を抜いて走ってたっぽい。
2部の1位はサッカー部で、こっちも最後の方はちょっと緩めてた気がする。
本部のテントからマイクを持った人が出てきた瞬間に、周りがすーっと静かになって、ちょっと怖い。
『部活動対抗リレーの予選結果を発表します。
1位、サッカー部。
2位、バスケ部。
3位、………』
1位でサッカー部と呼ばれた瞬間、応援席にいたサッカー部の方から、わーーっと歓声が上がる。
バスケ部の後ろの方からは若干ため息が聞こえた気がした。
……どうせ予選じゃん。
サッカー部もバスケ部も手抜いてたし。
「千先輩…直接対決、勝てますよね?」
「うん。勝てると思うよ。どうしたの?顔怖いよ。」
「いえ、ちょっと腹が立って。」
「あんまり気にしないの。本選で勝った方が強いんだよ。」
「そうですよね!!!」
直接走って勝った方が強い。単純なことだ。
予選の結果、本選で走るのはサッカー部、バスケ部、バレー部、陸上部、野球部、水泳部と言う差し障りのない運動部。
どの部活の人達も顔が真剣で、逆に本選を走らない部活の人たちは緩く、どの部活が勝つか予想していた。
バスケ部は走者順を若干変えたらしく、2走目に久夜、アンカー前が京介先輩になっていた。
その久夜はと言えば、何故か彼方と喋っていて、彼方も2走目なのかと思ったけど、違うみたいだった。
「………凄い、ドキドキします。」
「ね。俺も3年目だけど、本当慣れないよ。毎年ドキドキ。」
「めっちゃ応援しましょうね!」
「そうだね!!」
本選と言うことで、前半の中じゃ最高潮なんじゃないかと思うくらい盛り上がって、話すのもの若干難しくなるくらいには声が通りづらくなる。
「ひさやー!!頑張れよー!!!!」
レーンに入って準備をする久夜に向かって大声で叫ぶ。
久夜はそれに気づいてくれて、いつものようにニカッと笑った。
……超余裕そう。
『部活動対抗リレー、本選を始めます。
位置について、よーい……』
---- パンっ!!!!
スタートダッシュで一番に飛び出したのは陸上部。
やっぱり慣れてるのか、反応は一番いい。
けど、すぐにサッカー部の人と橘木先輩が追いついて、サッカー部の人を橘木先輩が追う形になった。
両方とも早くて、ほぼ同時、ちょっとだけサッカー部が先に2走目にバトンを渡した。
「久夜ーーー!!!!!…っ!!」
先に走りだしたサッカー部の2走目の人を追うように久夜が走り出す。
体力テストの時にも、部活で測ったときにも、午前の予選でも、久夜は1度も本気で走ってなかったんだと思わずにはいられない。
そのくらい、久夜の本気は早かった。
1年で一番早いのは、彼方でも久我くんでもなくて、久夜なんじゃないかって。
真剣な表情で前を追う久夜が、途中でサッカー部を抜かして1位になる。そしてバトンは葛城先輩にわたり、八草先輩に渡る。
途中何度もサッカー部とバスケ部は順位が入れ替わって、その度に歓声が起こり、サッカー部が1位でアンカー前になった。
「京介ー!!!」
「京介走れーー!!!!」
「京介先輩ーーっ!!!頑張れー!!!!」
「負けんな大翔!!!」
「走れ走れ!!!!」
京介先輩は本当に早くて、開いていた差はどんどんと縮まっていく。
それと同時に、別の歓声が起こって、バスケ部とサッカー部の争いから目を移す。
「はやっ………嘘だろ…」
その歓声は全て彼方に注がれたもので、早いのは知ってたけど、ビリにも近いところから一気に3位まで上がると、流石に追い付きはしなかったけれど、その差を縮めていく。
その表情は変わりなく無表情で、だけど、その無表情の中にも、少しだけ必死さが見えた。
リレーはあっという間にクライマックスを迎えて、サッカー部の人に追い付いた京介先輩とサッカー部の人が同じタイミングでアンカーにバトンを渡した。
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