アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
俊文が開けたドアを後ろからついて入った佐々木がそっと閉める。
「おい、お前に身の回りの世話全てを今日からこの佐々木に任せる。所謂執事だ。起きてから寝るまで一人にはさせない」
この言葉には、龍に向けた行動の制約を意味し、その理由には、勝手に家内をうろつかれると困る書類の山があった。
それを知っている佐々木の表情は固く、3年ぶりの龍を見ることができなかった。
俊文の違反行為に加担する後ろめたさ、それをダシにこの家を崩壊させる罪悪感。
これらが、佐々木の視線を下へと持っていく。
「今まで寂しい思いをさせてきたからな。せめてもの償いだ」
俊文の心にもない言葉。
視線を交えることなく、佐々木に丸々世話を投げ捨て、そそくさと部屋をあとにした。
「……」
「……」
訪れる二人だけの空間。
心が浄化されていくような、浮遊感にも似た心地よさに、佐々木はようやく視線をあげて龍を捉えた。
(ああ、良かった。3年前の面影を残した龍くんだ)
転けたことで出会った、あのときのまま。
身長が然程変わってないように見える。
それに安心を覚えたのは、きっと。
佐々木自身、あの時から「好き」だったんだと、気付いてしまったのだ。
煩悩とは好意のことだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 13