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静かに笑う龍を見て、気づいた。
笑っているのに、笑っていない。
これは、どういう心境なのか。
17歳のする表情ではないことくらいしか分からない。
小さくて幼さすら感じさせるような体型なのに、父親の容姿の良さを受け継いでいる龍は本当に整っている。
ありがたいことに、佐々木の嫌う俊文の顔に似ることはなく、母親に似た女性らしい顔立ちの龍。
彫りの浅い龍は、心から笑えば女だと見間違えるだろう。
「おっと、いつまでもだべっている暇はねぇ。一応、俺は龍の世話役、つまりは執事として仕事をしなきゃなんねぇ。二人以外の時は仕事全う中だから、ちゃちゃ入れてからかうなよ、俺が怪しまれるからな! なんか俺、冷徹人間て言われて、好かれたんだからな」
「え、こんなにも心配そうな顔したり、僕に魅入ったりしてたのに?」
「バレバレか」
「だね」
「まぁ、俺は冷徹人間なんで、無感情にお前を拐うかな~」
「ッククククク!拐うことにはかわりないね」
(あ、笑えんじゃん龍。やっぱ、人の子だな)
「とにかく!俺が仕事中はからかいはナシだ。まぁ、じゃれあいなら、仲良さげに見られて、逆に不意をつけるけど?」
「じゃれあいたいんだね」
「……」
佐々木の口車には乗せられそうにもない龍。
それにあいて乗らない龍。
「あと、気を付けてもらいたいのが、お前、辺鄙(へんぴ)な時間に彷徨いて(うろついて)一人で行動するのはやめろ。今後一切ダメだ。俺がその役目をする。だから、もう、終わるまで嗅ぎ回る真似をしなくて、いい」
今までヘラヘラと笑っていた龍が、ぱたりと表情を消した。
「あと」
佐々木はまだ、続ける。
龍の変化を知っていながら。
もう一度、龍の前で膝をつき直し、今度は一呼吸置いて、改まった。
「会社は潰させて貰うが、何があっても龍の味方はこの俺だ。俺だけでいいってくらいこの俺だ。……何度も言いますが、私が味方です。何時でも、心の拠り所には私がいます。私を頼ってください」
最後にまた。
「俺を頼れ」
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