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放課後、龍は励からのカラオケの誘いを無視して、自宅に直行。
帰宅後、父の俊文の部屋へ足音を立てずに忍び込んだ。
ある書類を探していたのだ。
それは、全ての本棚や本のページをめくっても見当たらなかった。
(ふう。見つかるわけないよな~……。証拠の紙を簡単なとこに隠すバカなんて、いねぇしな……)
ある書類を探しているのは、自分のためではないが、中立的立場にいると龍は思っているため、依頼人である母のこともよく思っていない。
勿論、確信犯である父の俊文も。
この時間帯はまだ俊文は仕事中だ。
如何にも、それが「仕事」であるかは定かではない。
しかし、物色しすぎたようだ。
「龍……。お前、なぜ、ここにいる」
ちょうど本を手に取る刹那。
向こうも抜き足差し足で、部屋の前にたったのだろう。
がたいのいい大の男が、小さい龍と同じように気配を消しながら歩くことなど、そうそう容易なことではない。
犯人を見つけたと言わんばかりの眼差し、息子にたいしてとは思えない口調で咎める。
知られてはならないものがある。
この事実を互いに無言の空間で語る。
ただ、龍は。
(僕だって、したくてしてるわけじゃないんだ。あんたも、あの人も、僕をなんだと思ってるんだ。毎度、子供が巻き込まれるってどうなの……)
そんな切な言い分は、無言の空間によって、押し潰された。
「僕だって、此処を継ぎたいんだ。だから、勉強しようと思って」
今は、言い訳しか、発言を許さない。
偶然にも手に取った本が「酒」関連。
それが、「お前の気持ちは殺せ」。
そう、言われているようで、龍は唇を噛み締めることしか、出来なかった。
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