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75女のように
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ここは、化粧部屋……とかかな?
卯月さんに連れてこられた部屋は、さっきの着付け部屋と同じぐらいの広さで、鏡台や様々な道具が置かれている。
「楓、ここにおいで。髪を結うから」
卯月さんは鏡台の前に座ると、少し開けていた前の座布団を叩いた。
「え、俺髪結えるんですか?」
「あんた元々髪長かったから、簪をさすまでは出来ないだろうけど、女らしく結えるよ。」
確かに、ここに来てから少し髪が伸びた。
襟足は邪魔くさくて、だけど自分でも切れないから、仕事の時には結んでいた。
「お願いします」
重たい着物を引き摺って、座布団に座る。
これ、座る時に裾が広がる……。
卯月さんは鏡台にある、黄色の櫛を手に取り、俺の髪を梳いていく。
誰かに髪を梳いてもらう日が来るとは思ってなかった…。
何だかこそばゆい。
「楓、あんたうなじ綺麗だね」
「え?」
ちゅっ
「ひょゎっ!?う、卯月さん!!!?何やってるんですか!!」
突然触れた唇と思われる感触に、俺はうなじを抑えて慌てて卯月さんを振り返る。
「自分に気がある男に隙を見せたらあぶないでしょ。今のはからかっただけだから、ほら、お座り」
ニヤニヤと笑う卯月さんさえも魅力的に見えるのだから、俺はどうしようもない。
言われるがままに俺は座り直して卯月さんに髪を預ける。
「楓の髪は細いね。サラサラしてる。」
「そうですか?シャンプーとかには気を遣ったことないけどなぁ…」
髪が細いとか初めて言われた。
それに、ずっと人様の家を盥回しだったから、シャンプーなんて細かいことを気にすることも出来なかった。
「しゃんぷぅ?よくわからないけど、朱蘭屋で使ってるものは最上級だよ。俺達は人様の接待をするから身体を汚してはいけないのさ」
俺も、ここに来てから毎日お風呂は入っているけど、髪を何で洗ったらいいかわからなくてずっと水で入念に洗っているだけで、そろそろしっかりしたもので洗いたい。
「今度一緒に湯屋に行くかい?湯屋ならもっといい手入れが出来る」
湯屋って、某神隠しに出てくるようなお風呂屋さん?
江戸時代にあるんだぁ……。
って……
「い、一緒に……ですか?」
湯屋……それはお風呂は……互いが裸になり湯浴みをする場所……は、裸と裸のお付き合い!?きゃっ!!
────じゃなくて……
う、卯月さんと一緒なのかぁ……
「嫌か?」
「そそそそんなことありません!!一緒に行きましょう!!」
「!…ありがとう」
卯月さんはニコッと、本当に嬉しそうに笑うもんだから、後になって断れないことを何気に悟ってしまった……。
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