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能天気
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「どないしたんやろ、あの天使。突然ガクーンって崩れてしもて」
画面に映るパーティの様子。なんの変哲もない会場に、退屈な挨拶。
そんな映像がずっと続いとったら俺かて見続けるのが苦痛になってまう。
あの胡散臭い神崎の後ろにぴったりくっついとった子が倒れた時にはびっくりしたけど。
「なんやろ、貧血かな?なぁ、冬夜?」
「……」
最初からノリ悪いヤツやったし、反応はそこまで期待しとらん。でも、なんかおかしい。
食い入るように画面を見つめて、悔しそうな表情をする。
「冬夜?あの天使になにか……」
そのときもはや存在すらも忘れかけてたミカも苦しげな表情をしてるのに気づく。
「二人してなんやの?俺だけ仲間はずれみたいやん?」
寂しいやないの、そんなん。
質問しても誰も答えてくれへんし、仕方なく黙る。こんな葬式みたいな空気、耐えられへん……。
「親父!?」
ずっと静かやったから、冬夜がそう叫んだのに身体が過剰に反応する。
「え、冬夜の親父さん来とるの!?え、どれ?」
冬夜が指さしたのは、神崎の前に進み出て、膝をついた男。周りにいる天界の連中は基本的に真っ白やのに1人だけ真っ黒で。
わっかりやす!
『大変ご無沙汰しておりました。本日はお招きいただきありがとうございます、神様』
でもなんでこのタイミングで挨拶なんて?
別にあの天使が倒れる前やってこの騒ぎが収まった後やって、いつでも良かったはずや。
ますますよう分からん。
遠巻きに神崎と親父さんの会話を遠巻きに眺める天界の奴らが、明らかにタイミングがおかしかったことを物語っとる。
「御門様は2人でいらっしゃると伺っていたのですが……もう1人はクロスフォード、いえ、天原様でしょうか?」
「いや、多分2人ならアイツは来ないと思う。ひなの世話でも焼いてんじゃねぇの?」
俺の知らない人たちの名前が次々と出てきて、完全な疎外感。
誰か解説!俺に解説して!
『ウリちゃん!?』
今度はキンキン響く、男とも女とも取れへん声。
そこにはもう1人、イケメンが増えとった。
今度は誰!?
多すぎる多分冬夜の関係者に俺の頭はもうパンク寸前。っていうかようここまで持ったなって褒めたいくらいやねんけど。
「あれは……どなたですか?」
あぁ、よかった。仲間がおった。
今まで完っ全に敵にしかみとらんかったこの堅物も、なんだか心強い仲間に思えてくる。
「あれは……。うん、医者だ」
「オカマやろ?」
「医者だ」
「せやからオカマやろって」
「医者だっつってんだろ。ってそれはどうでもいい」
変なオカマの話で盛り上がっとったのに…。
こんな真剣な雰囲気よりもさっきの方が好きや……。
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