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依存
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あの後、血を吸いに街へ出た。
実際月蝕も終わってしまったので血を吸う必要もないし、別段渇いているわけでもない。ただ、最後に吸った血が、灰吏のものであるという事実を思い出し、嫌悪感を覚えただけ。
結局いつものバーで女を引っかけた。何人か絡んできた男もいたけれど、今日はそっちの気分ではなかった。
家に連れ込むのはなぜだか気が引けた。今までなら誰彼構わず連れ込んでいたのに、今日はその気にならない。
自分の中でウリエラの存在が存外大きいものになっていることに驚く。
テキトーなホテルに連れ込んで、限界まで吸わずに記憶を消して帰してしまえばいいか。
俺は腕に身体を押し付けてくる下品な女と共に、ホテル街に消えていった。
「ふふっ」
そのチグハグなカップルを眺める影に気づく者はいない。
ホテルの部屋に入ると女はよほど身体に自信があるのか自分から脱ぎ出した。そんなことには興味なんて欠けらも無いのに。あえて言えば脱がす手間が省けたことくらい。
いつもみたいに手間をかけるのもめんどくさくなって、何度か舐めた後に牙を埋めた。
「……っまっっっっっず!」
とても不味かった。血が薄い。なんの甘みも風味も無くて、生暖かい水を飲んでいるようだった。
この女が不味いのか?いや、違う。天使の味を知ってしまったからだ。
思わず血を吐き出してしまったが、快感に酔っている女は気づいている風ではなかった。
こんなもの飲めたものではないとそうそうに女の記憶を消し、部屋を出た。
天使の血は毒であり麻薬。
あの甘美な雫を含んだら、やめられなくなる。
その身が朽ち果てるまで、求めずにはいられない。
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