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食糧
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ヴァンパイアだって人間と同じ食事はできる。それで栄養を摂ることも不可能ではない。
では、何故吸血という行為が必要なのか。
もちろんそこには、麻薬のような中毒性があるということもある。でも、ことの本質はそこじゃない。
血はヴァンパイアにとっての嗜好品なのだ。人にとってのコーヒーや紅茶のように。最低限の量を除けば、生きるためには別段必要は無い。
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4人で囲む食卓には、その場に似つかわしくない雰囲気が漂っていた。
誰かがほんの僅かにでも音を立てようものなら、すべてが崩れ去っていきそうな、危うさがある。
いつもは美味しいと感じる灰吏の作る食事も、味気なかった。
早く終われ
そんなことを考えるも、時間の流れはいつもより遅い。
「あ…の、秋人さんっておいくつなんですか?」
ウリエラが唐突に言葉を発した。なんでこのタイミングでこんな質問を?
ふと見回すと、同じように少し驚いたような顔の秋人がいた。
それもすぐにいつもの気持ち悪い笑に変わったが。
「ん?ふふ。何歳に見える?」
「え…っと……本当に見た目は冬夜とあまり変わらないくらいで…」
「ざーんねん。俺も正確にはわからないな。途中で数えるのもやめてしまったし。」
あぁ、そんな歳だったのか。我が父ながら初めて知る。
ウリエラのおかげで、時間がようやく進み出した。それがいいのか悪いのか。俺は救われたが、ウリエラにとっては処刑の時間が早まったようものである。
「ふぅ。ごちそうさま。美味しかったよ、天原くん。」
ほら。終わった。
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