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闘い
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こんなに大勢で囲む食卓は、僕にとって多分初めての経験だった。天界にいた時も、基本的には兄さんとふたりきりで。学校でも、早く兄さんに追いつくために、友達なんて作らなかった。
漂う奇妙な緊張感に、変な気分になりながらも、少しだけ、本当にすこしだけ嬉しさを覚えた。
それにしても、無言で食事をとるのは、なんとなく居心地が悪い。
冬夜もお父さんとの久々の再開なのだから、何か話せばいいのに。
そんなことを考えながら、僕も黙々と箸を進める。ふと辺りを見渡すと、秋人さん以外の全員が、何かしらの居心地の悪さを感じているらしい。
「あ…の、秋人さんっておいくつなんですか?」
沈黙に耐えきれずに何か話そう。話題を探した結果、口をついて出たのはこの質問だった。が、次の瞬間それは後悔へと変わる。
「ん?ふふ。何歳に見える?」
「え…っと……本当に見た目は冬夜とあまり変わらないくらいで…」
「ざーんねん。俺も正確にはわからないな。途中で数えるのもやめてしまったし。」
やっぱりヴァンパイアだった。長い間生きてると、時間の感覚も分からなくなるのだろうか…。
「ふぅ。ごちそうさま。美味しかったよ、天原くん。」
そう。ここからが戦い。
「ウリエラくん、天原くん、俺の部屋に行こうか。冬夜は来る?」
「誰が行くか。」
冬夜が来ない。
理解していたはずなのに、その事実を聞かされた瞬間、心の中に隙間風が吹くような感覚。
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