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救い
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_____…けて、助けて!冬夜!!_____
光も何も無い、真っ暗な世界に、彼の声が響く。
俺は今、どこにいるのだろう。
ヴァンパイアで、夜目が効く自分が見えないものなんてないのに、視界に広がるのは闇。その中に、俺のそばにはいないであろう声だけが聞こえる。
ん、、ウリエラは今、秋人の部屋にいて…
だんだんと意識が鮮明になる。
それでもこの真っ暗な空間は消えなくて。
コツッ
誰かの靴の音がする。ふと視線をそちらに向けると、そこには春陽がいた。
実際俺は春陽の姿を見たことがない。
それは肉体が入れ替わってるから当然なわけだが。
それでも春陽と分かったのは、見た目が俺と瓜二つだったから。そして、雰囲気が俺の中の春陽そのものだったから。
「冬夜…だよね。ビックリしたよ。僕達がこんなに似てるとは思わなかった。」
「春陽だよな。ここ、どこ?」
「ここ?多分意識の世界。冬夜のね。
さっきからウリエラの声が聞こえるんだけど…身体を共有してるからかな?」
「…やっぱり、ウリエラか」
「行かなくていいの?って違うね。お前は行くべきだ。」
「はぁ?なんでそんなこと言われなきゃならないの?」
「知ってるからだよ。見て見ぬ振りは辛いって。自分が目を背けた相手が、傷ついている所を見るのは、行動して失敗した時より辛いよ。」
行動しなかった方が辛い。そうだった、それを一番わかってるのは、コイツだ。
「ほら!早く行けよ。遅くなる前に!!」
春陽に背中を押され、暗闇になれた瞳には強すぎる光の中へと俺は戻っていった。
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