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悪魔
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「ウリちゃん、調子はどう?」
換気のために開けていたドアから親しげに入ってきた人物には、見覚えがあった。
「あの、夢の中の悪魔!?」
「ふぅ、あそこは夢じゃないんだけど…まぁいいわ。紹介が遅くなって悪かったわね。アタシは薬利 枝流。医者よ。気軽にエルって呼んでちょうだい。」
初対面の悪魔を相手に、気軽に名前で呼んでもいいんだろうか…などと考えると、一つ、気になった所があった。
「え…”きりゅう”先生じゃないの?」
「黙らっしゃい!いいのよ、みんなそう呼んでるんだから!」
「はぁ……」
「じゃあ、よろしくね。で、体調は?」
「いや、なんともないですけど…。」
「そう。なら良かったわ。そうそう、昨日冬夜がね…」
「薬利先生、朝食の準備ができたって天原さんが言ってましたよ。」
そう言いながら入ってきたのは、僕の元主…というか僕達の元主。
「あ!おはようございます、ウリエラ君。」
「おはようございます!かみ…いや、神崎さん、僕のことは呼び捨てでいいですよ!」
そう、神様が僕に敬称をつけるなんて恐れ多い。
彼が今は素性を隠してこっちに来てることを知ってるから、ある程度フランクな訳で…。
一応今でも天使の端くれである僕は、あんまり無礼なことはできない。
早朝から1人、葛藤する。
「なんでそんなに仲いいのよ…。」
「ふふ。ほら、センセ、朝ごはん、食べなくていいんですか?」
「そうだったわ!ウリちゃん、あなたはどうする?」
「あ、僕も行きます。」
とにかく、春陽の顔を見たかった。
そして、ありがとうって言いたい。
▽
リビングのドアを開けると、そこには兄さんと、春陽の姿。
「あ、ウリエラおはよう。体調は?大丈夫?」
「おはよう。お蔭さまでもう大丈夫。春陽、昨日はありがとう。」
色々な気持ちを共有した春陽でも、ありがとう、って言うのは照れる。
「僕は何もしてないよ。お礼はエルと、灰吏さんに言って?ほら、ご飯にしようか。お腹すいたでしょ。」
ふわっと優しく笑った春陽が優しくて、安心した僕のお腹は素直に鳴る。
「うん!」
騒がしくも、平穏な朝
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