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平穏
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「もう…本当にいつぶりだろう、こんな静かな朝…。」
あのウリエラの一件から数日。
思わず心の声が漏れていた。
冬夜が目覚めてから、ほぼ毎朝僕の前には死体の山が出来てたし、漸くそれが収まったかと思えば今度はウリエラが大変で…。
騒がしい悪魔が1人いるけど、比較的平穏な朝が続いている。
朝から元気なエル、そのエルを諌める創汰さん、それについていけずにオロオロしているウリエラ。
そして…皆を1歩離れたところで柔らかく見ている灰吏さん。
母さんがいた頃…って言うのは僕の記憶にはないけれど、きっとこんな感じだったんだろうな、なんて朝からしんみりしてみる。
「そういえば、エルはいつまでいるの?」
「全く決めてないわね。」
「はぁ…病院はどうするんだよ。」
「その点はご心配なく!アタシの優秀な使い魔ちゃんたちがお留守番してくれてるわ。ね、神崎くん」
「ホントですよ…。先生とんでもなく使い魔使いが荒いですよね。医療ミスとか起こりかねませんよ、本当に。」
「そんなことないわよ。ちゃんと労わってるわ!」
話が完全にそれてしまった。
エルと創汰さんが口論を始めたところで、僕はコーヒーを淹れようと席をたった。
突然歪む視界。
立ちくらみのようなそうじゃないような。目の前の世界が二つに別れるような感覚。
「春陽っ!!」
遠くで灰吏さんが僕を呼んでるような気がする。
あー、やばいな、なんて思った頃にはもう遅くて、重心が崩れた。襲い来るであろう衝撃に身を固くするが、しばらく待ってみても何もこなかった。
「大丈夫ですか?」
上からかかる声に恐る恐る目を開けると、視界に映ったのは灰吏さん。端正な顔を僅かに歪めて僕を見つめている。
かっこいいな…なんて思うのだけど、次第に恥ずかしさがふつふつと沸き起こってくる。慌てて立ち上がろうとする僕にさらに追い討ちをかけたのはエルだった。
「ひな、動いちゃダメよ。悪化したら危険だから、そのまま天原くんに部屋まで運んでもらいなさい。」
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