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子供
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「おー、なんか弟みてぇ」
改めてひなを見てみると想像以上に似ていて、今のこの身長差も考えると本当に兄弟みたいだった。
「はい?何言ってんの?僕の方が先に産まれたんだから、冬夜が弟でしょ」
頭をポンポンと触りながら言ったのが気に食わなかったらしい。
「お前その身長差で兄貴て。ひなちゃん、鏡みた?」
売り言葉に買い言葉。どんどんヒートアップしていく俺達の喧嘩を止めたのは、意外な人物。
「ちょっと、やめなよ、喧嘩は!どっちが上かなんて関係ないじゃん。双子みたいなもんでしょ?」
「春陽、お兄ちゃんならそんなことで怒らない!」
「はい!」
「冬夜、君こそ鏡みなよ!体ばっかり大きくなって子供みたいだよ」
「子供って……はぁ、悪かったよ、ひな」
ウリエラの一喝であっけなく終わりを告げた口論は、思い返してみれば恐ろしいほどくだらない。
「あ、冬夜、さっきの用事って?」
「さっきの用事?」
そんなのあったか?
「今から~ってやつ」
「あぁ、あれね。今からゲームでもやらないかって思ったんだけど」
ゲームという単語にウリエラがひとしきり瞳を輝かせたのが数時間前。
身体も小さくなったし、久々に童心に返って…なんて思っていたわけだけど。
好奇心旺盛で蠱惑的な小悪魔の色気には逆らえず、思わず血を吸ってしまった。
そしたら急激に成長して、元の姿に戻ったわけだけど、そこは今は関係ない。
「ゲーム?いいよ、何する?」
しまってあったテレビゲームの類を引っ張り出し、吟味を始める。そして決まったのが、配管工の兄弟が、車に乗るレースゲーム。
パッケージを見ると8人まで同時プレイができるということで、丁度いい。
リモコン型のコントローラーを握り、レースが始まる。
▽
「クッソー、また負けた!」
ハンドルを握った灰吏は、なまじ強かった。それこそあらゆるトラップを的確にしかけ、かつ持てる技術をすべて駆使して勝利を掴む。
正直こんなに強いとは思ってなかった。ゲームなんてしたことないと思ってたし。
ふと隣に座るウリエラを見てみると、既に涙目。大方自分なら余裕で勝てるなんて自信を持っていたのだろう。
「兄さんなんて嫌いだ!」
子供はどっちだよ……。
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