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「あーあ、もう飽きたわ。俺、部屋戻る。」
んー、悪いことしちゃったかな。
さっきも思ったけど、冬夜はすごく子供で、自分の思ったとおりにいかないと、たぶん拗ねる。
大学に行ってる時も授業受けてないのに僕のレポートは夜のうちに完成してたから頭はいいし、あれだけ他の人を連れ込んでたから、大人びてるんだけどね。
中身はずっとずっと子供だった。
「なに、あれ。自分から誘ったくせに訳わかんない」
僕の膝の上から僕を見上げてくるウリエラも、何かご立腹のようで。
「はは。まぁ今はそっとしときなよ。さて、ウリエラ、僕とやりますか!」
「うん!」
これでいいんだよね、たぶん。
何回かウリエラとレースをすると、コントローラーの扱いにも慣れてきたのか、徐々に上達していった。
「あー、負けちゃった…。強くなったね、ウリエラ」
「でしょでしょ?春陽、もう1回!」
楽しいのはいいことなんだけど、そろそろ休みたい。そう思った時、灰吏さんから声が掛かった。
「そろそろ休憩にしませんか?」
「そうですね。僕も一度休みたい」
「えー、春陽やめちゃうの?」
休憩、という言葉に飛びついたことに、自分でも驚いている。後ろでウリエラが文句を言っているけれど、それが気にならないほど、僕は疲れていたのだと思う。
ゲームが一時中断された頃には、僕はまた少し大きくなっていた。今は目の前でしぶしぶ休憩を受け入れるウリエラとあまり変わらないくらいになっていた。
これだと戻るのも意外とすぐかな、なんて考える。
部屋から出てこない冬夜が心配だから、ティータイムが終わったら、様子を見に行ってみようか。流石にフォローしてあげないと可哀想だし。
1口紅茶に口をつけると爽やかな香り。
「今日のお茶ってミント入ってる?」
「正解です。よく分かりましたね、春陽。気分をリフレッシュするには丁度いいと思いまして。」
あぁ、格好いいなぁ。
ささやかな気配りを、自慢することなく、さりげなく、そしてさも当たり前のように成し遂げる大人の男って感じで。
その時エルも同じような視線を灰吏さんに向けているのが分かった。だからあんまし好きじゃないんだよなぁ。
この間も感じたけど、エルはやっぱり大人の男だった。
普段はオネエで、なんかすごく頼りない感じなんだけど、仕事になると真剣で。
ゲームをしてても何をしてても、灰吏さんはすごく楽しそうだった。
早く大人になりたい。灰吏さんと肩を並べられるような、大人に。
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