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影で支えてくれる貴方
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「いかがなさいました、神様?」
「んー、なんで?」
「先ほどの外出から顔がいつもよりも緩んでらっしゃるので」
「うそ…そんなに?」
「ええ。そんな顔で人に会うのは控えていただきたい。天界の沽券に関わります」
そう。今、俺はすごく喜んでいる。珍しーく表情に出てしまうくらいには。
「はーい」
でも機嫌がいいからミカの小言もきちんと聞いてあげる。怪訝な顔をされるけど、今日はそんなの気にしない。
今のところ全てが俺の計画通り。
あとはあの人が来てくれるかってとこだけど、多分問題ない。切り札もある。
「久しぶりですね、貴方がそうやって執務机に向かわれているのは」
この言葉が嫌味じゃないことは、俺が分かってる。本当に久しぶりだしね。
「ふぅ……休憩に「ダメです」」
休憩にしようかな。
言い終わる前にかぶせるように却下された。そのまま何も言わずにふらりとミカは消える。
仕方ない、やるかぁ……
そう思ってまた手を動かし始めた時、コトリと音がした。
さっきまでなかった影が机に浮かぶ。そこからは白い湯気が立ち上り、見るからに温かそうな……。
「どうぞ、紅茶です。温まったら仕事をしてくださいよ」
こんなこと、今まであったかな。
多分あった。気づかないだけで。いつも俺を影から支えてくれるのは、ミカしかいない。
俺が心を許せるのは、ミカだけかもしれない。
なんてね。
「ありがとう、ジャン」
名前で呼ぶと、照れたように紅くなる。前言撤回。今日はなんだか様子がおかしい。
「神「おい、神崎!!いるんだろ、出てこいよ」」
せっかくほっこりしていたところにドアを蹴破りそうな勢いで聞こえてくる怒声。
俺の唇はこの場の空気に似つかわしくない形に歪む。
計画通りにことが運び過ぎて怖い。奥の手を使うまでもなく目標を達成できそうで。
「はいはーい、どうしました?」
笑いを含みそうになるのを必死にこらえ、返事をする。ミカには視線で、この部屋から出てろと合図をした。
ちゃんとそれを理解してくれたミカがつい先日までウリエラくんが使っていた部屋に移る。
それを確認してから、俺はドアを開いた。
「お前、さっきウリエラに話したろ、あのこと?」
「あのことってなんです?」
「とぼけてんじゃねぇよ。アイツがこっちに残るとか言い出した。ってことはあの戦争云々の話をしたとしか思えねぇだろ」
怒りに燃えてるはずなのに至って冷静な話し方はあの人そっくりで。
でも口調が雑なのがまだ幼いかなぁ…
見た目はいいんだけどな…
「俺はちょっと残って?って言っただけですよ?」
へらっと笑う。
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