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不毛な関係と恋心2
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短い秋が過ぎていく。
あれから彼と何度も会って、二言、三言程度なら交わすことが当たり前になった。
最近、学校で長谷川さんの顔を見るのがすごく辛くて、苦しい。
自分の心の中で彼と長谷川さんが混ざり合って、存在しない人物が作り上げられていく。
俺と長谷川さんはただの同じ職場で働く者同士で、飲み会でも無ければ挨拶しかしないような関係だ。
その現実と、都合の良い妄想を時々ごちゃまぜにしそうな自分が怖い。
「おはようございます」
朝の静まり返った校内。
いつものように警備室の前を通り、表情を変えない長谷川さんに挨拶する。
今日のボクはきちんと笑えていただろうか。
◇
土曜日の夜は、約束をしなくても河川敷の公衆トイレで彼と会うようになっていた。
平日は残業で会えないから彼は他の人としているかもしれない。だけどボクは彼に会ってからは一人としかしていない。
それですら、一方的に舐めてるだけだ。
長い間自分の手でしか性欲を処理していないせいか、勃起したペニスを目の前にして無性にムラムラした。言うつもりもなかった言葉を口走る。
「寝てるだけでいいですから、セックスしてもらえませんか……?」
言ったあとに、「しまった」と思った。諦めて、懇願するように言葉を続ける。
「今みたいにアイマスクをしていて大丈夫です。スマホで動画とか見てていいですし、ホテル代はもちろんボクが払います。あと、ちゃんと綺麗にするので……!」
こんな場所で、誰とも分からない人にフェラチオをしておいて可愛い子ぶるわけじゃないけど、“どこを”とは言えない。
彼は嫌だとも、良いとも言わなかった。
「男同士で入れるラブホテルなんてあるの?」
拒否されるとばかりに思っていたから、そう言われて一瞬何もかも頭から吹き飛ぶ。
慌てて言葉を繋いだ。
「峠にある、一番手前の所なら……大丈夫です。扉もロックされたりしないので別々に入れますし、近くのパーキングエリアに片方の車を停めれば二台で行っても平気、です」
何で知ってるかは言わなくても分かっただろうけど、彼は特に表情を変えない。少なくとも、引いているようには見えなかった。それだけでもほっとする。
「じゃあそこで」
抑揚のない声で彼は言った。アイマスクをしている彼からは見えないのに、ボクは小刻みに頷く。
30分後に落ち合う約束をして、その場を離れた。
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